2020年11月30日月曜日

【丹波篠山】弥十郎ヶ嶽

 山レポートの前に、再び、畑の話。

前回、白菜の収穫をレポートしたのですが、その後、レタスキャベツを収穫しました。

これがレタス。無農薬なので黒い小さな虫が結球の中にも入り込んでいたので、風呂場のシャワーで洗い流しましたが、やはり新鮮で収穫した後、一週間ほどしても、しっかりしたシャキシャキ感があり、子供の頃食べたレタスの食感を思い出しました。


こちらはキャベツ。モンシロチョウの幼虫にかなり食われましたが、結球の内部は比較的きれいです。辛みのなかに甘味もあり、美味しい。キャベツの茎は樹木のように丈夫で包丁でも切るのが結構大変です。キャベツは多年生植物らしく、収穫後も茎から再び葉が出てきて結球するらしいので楽しみに放置しています。


さて、今回は丹波篠山の南東部を代表する弥十郎ヶ嶽(やじゅうろうがたけ)です。
珍しく人の名前が付いていますが、一説によれば弥十郎は、このあたりにいた山窩(さんか)の名前らしいです。


山窩(さんか)とは狩猟採集で暮らしていた人たちのことで、世界中の非文明民族がそうであるように、「所有」という概念を持たないので自分たちの持ち物を分け与える代わりに他人の持ち物を持っていくので、警察からは窃盗集団として目をつけられていたそうです。

小説集もあるようなので今度読んでみよう。

弥十郎ヶ嶽には色々なコースがあるのですが、山窩説の由来となった大きな洞穴が見られる西のコースで登ることにします。ただし、洞穴の真上にスズメバチの巣があります。

ちなみに、「山窩」の「窩」とはあなぐらという意味です。

これがヤマレコの山行記録です。高低差450m、行程6Km、休憩時間30分を入れてちょうど3時間くらいの山行です。

11月最後の日にしては少し暖かく、陽当たりもよく、なにより頂上の眺めが良かったので楽しい山行でしたが、天気が良くない日だとちょっと陰気な感じがする山です。丹波篠山市の登山マップには洞窟の手前あたりに「注」のマークがあり多分道迷いだと思いますが、比較的新しめのテープが多く張られており迷うこともなく初心者でも大丈夫なコースです。


登り口に看板があり読んでみると、先日登った高城山に関連する悲しい歴史を持つ山だということがわかります。

高城山にあった八上城(やかみじょう)を明智光秀軍が包囲し兵糧攻めにした際、四十九院と呼ばれた複数の寺院が八上城に物資を運んでいるとして焼き討ち、多数の僧の首を刎ねたという話です。

弥十郎ヶ嶽と高城山の間の区画を曽地と言い、流れる川も曹地川といいますが、これは、「僧地」が語源だという説があるようです。それだけ僧が多かったということなのでしょう。


丹波篠山市の登山マップにPマークのあった、県道12号をはさんで、ピザ屋さんの向かいの空き地に車を停めます。こちらのピザ屋は、下山後に立ち寄るので後ほど...


ピザ屋の奥から登山道になっています。月曜日の朝は、NHK FMの「X(かける)クラシック」が上質な番組なので Radikoで聴いて上質な気分で進みますが、すぐに携帯の電波が切れてしまいました。


午前中は、曇りという予報でしたが明るい陽射しが差し込みます。


最近キノコ探しを新たな趣味にしていますが、真っ白な小さなキノコを見つけました。


白いキノコと言えば、猛毒のドクツルダケを連想しましたが、どうやらそれではなさそう。調べてみるとシロシメジのようですが、自信がありません。
とにかく、今のところ独断で口に入れるのはやめておきます。


弥十郎ヶ嶽の道しるべが出てきました。


かなりの密度の杉の植林です。


崩壊した橋があります。迂回して岩の上を渡るのですが、こういう場所があると、これから先の登山道が少し心配になります。結果的に心配するような場所は特になかったのですが。


立派な石垣がところどころにあります。明智光秀に滅ぼされた四十九院のお寺の址なのかもしれません。


吹越峠への上り坂です。


カエンタケというキノコが発見されたという看板。触るだけでも皮膚がただれると書いてあります。


ウィキペディアの写真ですが、確かに炎がメラメラと燃えているよう。触るだけで皮膚がただれるのはこのカエンタケだけだそうです。

しかも、致死量はたったの3グラム!!!

それでもトリカブトの毒には及ばずで、トリカブトの致死量は0.2~1グラム。しかも数十秒で死に至るというから恐ろしいです。


傘のあるキノコとは全然違う形をしている理由として、子嚢菌門という胞子を袋の中につくる種類だから。同じ、子嚢菌門でアミガサタケやトリュフもあるが、この二つは食通にはたまらない美味キノコだから面白い。





吹越峠に到着。ここは、北にある畑市からのコースの合流点です。畑市から登らなかったのは、丹波篠山市の登山マップに駐車場Pマークが書いていなかったから。


少しヤセ尾根を進むと東に向けての山頂ルートです。ここからが本番。


陽射しがあるのとないのでは大違い。


丹波篠山市の登山マップでは「注」マークがあり、道迷いの警告だと思いますが、比較的新しいテープが多く張られているので問題ありません。

とくに、このギフト用みたいなラメのリボンは大変わかりやすい。クリスマスプレゼントをもらったら、リボンは是非、山のマーキングに再利用しましょう!


確かに迷いやすいルートですが、これだけリボンがあれば大丈夫。


ところどころに虎ロープがありますが、使わなくても登れる程度の坂です。落ち葉が滑りやすいのが少し気になりますが。


弥十郎という山窩(さんか)が住んでいたという伝説の洞穴が出てきました。
下山時に中をのぞいてみることにします。


ふと、上をみると、大きなハチの巣があります。


大きさは60~80センチくらいに見えます。スズメバチの巣です。キイロスズメバチかな。よく見ると、一匹表面を歩いています。洞穴の門番のようです。

ハチに襲われた経験がないので、下山時に洞穴の中に入りましたが、後で思うと近寄らなかった方がよかったと思います。特に、夏はハチが活動的になるので避けるべきでしょう。

スズメバチは一匹が近づいてきて大顎をカチカチと鳴らす音が聞こえたら、これが最終警告で、それでも巣に近づくと集団で襲ってくるようです。


洞穴を過ぎると頂上までもう一息。



頂上到着です。山頂は広くて南側はまったく見えませんが、北側のながめが素晴らしい。
幸い風もなく、天気もよいのでゆっくり熱い煎茶で休憩しました。


先日登った御嵩と小金ヶ嶽だけでなく、多紀連山が一望できます。


峠山の右(東)に、八ヶ尾山(678m)があるのですが、さすがにそこまでは見えませんでした。

ちょうど、山頂で出会った方から、峠山と八ヶ尾山の間に、筱見四十八滝という名所があると聞いたので今度登ってみます。その方が言うには、48瀑の滝があるわけでなく、8瀑の滝が、「しじゅう」流れているから「しじゅう八滝」と言うとのことです。落語のようですが。


左手前には、高城山を見下ろします。今回のコースにあった四十九院のお寺が、籠城していた高城山の八上城へ物資を運んでいたという話ですが、かなり離れているうえ、尾根沿いではないので、腑に落ちません。おそらく、四十九院は弥十郎ヶ嶽の頂上の城に物資を運んでいたのではないかと思われます。


南の後川(しつかわ)からのルートもあります。四十九院ルートと同じくらいの距離のようです。


天気がよく、枝ぶりのよい松を手前に多紀連山の眺めを名残惜しく思いながら下山することにします。


さて、帰りに気になっていた、洞穴の内部に入りました。真上にスズメバチの巣があり、洞穴の奥から、何やら獣の唸り声のようなものがしたので、かなりビビりましたが、ライトに照らして入ってみると、奥行きは10メートル足らずほどでした。唸り声は気のせいのようです。

自然に出来た洞穴なのでしょうか。ちょうど家族が雨風をしのいで住むのに適したような空間です。弥十郎さん山窩一家が住んでたイメージを描きながらハチの巣が怖いので退散します。


登りの際に気が付かなかったのですが登り口付近に古いお墓がありました。戦国時代ほど古くはなさそうですが、明治の頃かな。


登山完了がちょうどランチタイムだったので、登山口のピザ屋でお昼にすることにします。
ピザ屋の奥に、小さな池があり、聞いてみるとお店のオーナーが経営するフライフィッシングの施設だそうです。


クワモンペ(Kuwa Monpe)という名前のお店ですが、本格的なピザ窯があるだけあり、なかなか美味しいピザでした。丹波篠山の山奥でこんなピザが食べられるとは驚きです。

平日の月曜日ですが、多くの車が停まっていて、お店はほぼ満員でした。


天気がよいので外の席で食べましたが、オリーブを育てていてよい感じ。なんとなくイタリアの田舎を感じさせます。

「クワ+モンペ」という丹波篠山らしいアイテムをイタリア風の名前にしつらえているのが面白い。

この地にイタリアを感じてお店を構えたチャレンジ精神と遊び心のあるオーナーさんだなと察します。



2020年11月21日土曜日

雲谷山(三方五湖)

 雲谷山の紹介の前に、セカンドハウスの丹波篠山のレポートです。

9月半ばに苗で植えた白菜のうちの一つがかなり固くなってきたので、思い切って収穫しました

手塩にかけて育てたので、根元から包丁で切るのには少し心が痛みました。モンシロチョウの幼虫も何匹抹殺したかわかりません。やはりなんでも自分でやってみると、生命をいただくありがたみというものがわかります

かなりの大玉で、3キロ以上ありました。


白菜は4分の1にカットして、半日天日干しすることで、保存性とうまみが増すそうなので、ハンモックに寝かしてやることにしました。いい感じです。

半分は漬物に、のこりは鍋などでいただくことにします。


さて、雲谷山ですが、福井県の三方五湖の東にある山です。5つの湖の内の三方湖のすぐ東にあるお寺、三方石観世音(みかたいしかんぜおん)からの往復コースを歩きます。

歩行距離は約10Km、標高差は約700メートル。休憩40分を入れて5時間少しの山行でした。

登山道は危ないところは全くなく、いくつかアップダウンがありますが、きつさはありません。逆に言うと、ちょっと変化に乏しい山と言えるかもしれません。

でも三方五湖の景色は素晴らしく、登るにつれ、丹後半島を含めた若狭湾の全貌を眺めることができるのがこの山の良いところだと思います。


これは登山口から頂上方向を眺めた図です。大きく北へ迂回する形で頂上へ向かうルートです。そのため、途中からの景色は三方五湖から美浜町方面に移ります。


京都から約2時間のドライブに同乗させてもらい三方石観世音の駐車場に到着です。3連休初日にしては広い駐車場は空いています。ちょっと曇っているからでしょうか。


こちらのお寺は、33年に一度しか開帳しないという秘仏の観世音菩薩の礼拝所ということです。


弘法大師が一夜で、磨崖仏を彫ろうとしたが、夜明けのニワトリが鳴いたので右手首が完成していなかったけれど、作業を止めてしまったという伝説があり、そのおかげで秘仏には右手首がないので、秘仏は「片手観音」と呼ばれている。

そのつながりで、このお寺にお参りすると、手足が良くなると言われているそうです。

さすがの弘法大師様もミッションコンプリートできなかったということなのでしょうか。



お寺の奥が登山道につながっています。


最後に山に登ったのは2月という割には、ハイペースで登り始めるバディ。


しばらくつづら折りで高度をかせぐ道が続きます。珍しくシダに覆われています。


途中、ベンチが設置された展望台が三か所あり、車でも行ける道があるようです。
こちらは、最初の展望台。


サザンカがきれいに咲いています。


第三展望台までは、階段が整備されており、道幅も広く、馬車でも通れそうです。



こちらが第二展望台。以前三方五湖の湖畔のロッジに宿泊したことがありましたが、山上から眺めると、海に隣接していることがよくわかります。


最近キノコが非常に気になっていて、目を凝らしながら歩いていたら、マツの落ち葉のなかに、いい感じのキノコを見つけました。


表面が粘液でヌルヌルしていて、裏側はヒダヒダがなく白くてツルツルしています。
シメジの種類かと思うのですが、調べてもはっきりとは分かりませんでした。キノコは非常に種類が多く、個体差もあって本当に難しい。

持って帰って食べる気満々だったのですが、口に入れる勇気はありませんでした...


第三展望台までやってきました。景色は下山時のほうがよいので、写真と解説は後ほど掲載します。結論を言うと、三方五湖の景色を見たければ、第三展望台だけで十分です。


ここから「登山口」と書かれています。ここまで車で来た人はそうなるのでしょうね。


登山道は、落ち葉で埋め尽くされています。前日雨が降ったこともあり、濡れ落ち葉が結構滑りやすいので注意しながら進みます。


またすごくいい感じのキノコを発見。味噌汁に入れて食べる自分をイメージしていたのですが、これもはっきりと同定できません。

切り株に生えていることもありエノキダケのようにも見えますが、ヌメリはありません。いろいろ調べてみるとヤナギマツタケのようでもあります。とても良い香りがして、食べたかったのですが、食べる喜びと、下痢かもっと怖い病気になるリスクを天秤にかけると、やはり口にいれることはできませんでした。

やはり、キノコに詳しい人と知り合いになるしかないのでしょうか。探すのが大変そうですが。


アップダウンが多いルートなので、「すわっ、あれが頂上か!」と思わせること三度ほどありました。


この時は、絶対頂上だと思いましたが、違っていた。
頂上じゃないどころか、また下りになっているのでガックリ度×2になります。


今度こそは...


頂上でした!!786.6メートル


頂上からは、残念ながら三方五湖は見れませんが、美浜がとてもよく見えます。
美浜の湾沿いのきれいな三角形の山は、天王山(331m)という山です。なんとなく、琵琶湖の横の八幡山を彷彿させます。

写真には写っていませんが、数多くの送電線が山を這うように張られていますが、敦賀半島の先端部には、敦賀原発、美浜原発に加えて、新型原発の「もんじゅ」と「ふげん」があります。いずれにも現在は稼働していないようです。

美浜原発は試運転として大阪万博会場の電光掲示板に明かりを灯したそうです。鉄腕アトムの時代、科学技術が未来の夢とイコールだった頃です。


遠くに大きな山が見えるのでARヤマナビで確認すると、どうやら白山のようです。真っ白でなかったので自信はありませんが。暖冬のせいで本格的な積雪になっていないのかもしれません。

この方角にある、野坂岳、西方ケ岳、岩籠岳は、敦賀三山と呼ばれています。


頂上は割と広いです。日本海からの冷たい風も頂上ではなかったので、ゆっくりランチを楽しめました。


下山中に午前中の雲が晴れてきて明るい景色が見えてきます。


第三展望台です。三方五湖の景色はここからが一番です。

正面に見えているのが、三方五湖のなかで最大の水月湖(すいげつこ)。
右後ろの山の頂上に山頂公園があり足湯に浸かりながら三方五湖の景色を堪能できるらしい。

この水月湖は、湖底に水流がなく少しずつ堆積した土砂や生物が一年に0.7ミリというスローペースで層となっており、年縞(ねんこう)という名の地質になっているとのこと。

2006年に、これをボーリング調査で70メートルの深さで採取し、16万年分の1ミリ単位の完全連続した地層を手に入れることができ地質学的年代決定の事実上の世界標準になっているそうです。

三方五湖は元々は内陸の湖だったものが、氷河期が終わったことによる海面上昇で海と接続した現在の形となった。


パノラマモードで撮影、上の写真の左に三方湖が見えます。三方湖の後ろに盛り上がっているのが小浜町の内外海半島(うちとみはんとう)です。さらにその先の大島半島も見えます。


開山された和尚さんでしょうか。優しそうな和尚さん。


33年に一度しか公開しない秘仏の次回は、2026年だそうです。


帰りに、日本海側の最大級の生鮮市場である日本海さかな街によりました。

タグつき蟹を買って帰ろうと意気込んで入ったのですが、小さいものでも1万円からだったので、ロシア産のカニ丼を食べて帰りました。数年前は、1万円もだせば結構大きなズワイガニが買えたんだけどなぁ。