2023年6月24日土曜日

【滋賀】横山岳

 天気が読めない梅雨時ですが、雨が降らなさそうなので、横山岳に行ってきます。

横山岳は伊吹山地のグループに属します。伊吹山地の尾根が大体滋賀県と岐阜県の県境になっていますが、横山岳は北に位置する1132メートルの山です。


こちらが詳細ルートです。

横山岳の登山は、3コースあり、尾根道の①三高尾根コース、②東尾根コース、そして沢道の③白谷本流コースがあります。

筆者は沢道が嫌いだし、なにより梅雨時で増水しているので白谷本流コースはパスしましたが、山岳信仰の聖地は白谷本流コースのようです。案内板にもありますが、幾つかの風光明媚な滝があり、往時には山岳信仰の社殿が20以上も建っていたと書かれています。

今回の筆者のルートは、登りを三高尾根コースにして、下りを東尾根コースにしました。どちらかと言えば三高尾根コースのほうが急坂が多くてキツかったように感じます。

横山岳東峰の前後の尾根道が北と南の両サイドが開けた素晴らしい尾根道なのでここは絶対ルートに加えるべきです

全体で距離9km弱、時間4時間45分、累積標高930mの山行でした。急坂が多いので数値以上にキツかったです。


国道303号線から横山岳への分岐点にあった案内図。横山岳の西に墓谷山(738m)があり墓谷山と横山岳は登山道がつながっています。


離合が難しそうな林道をしばらく走ると白谷登山口に出てきます。細い林道を抜けてきたことを考えると意外なほど大きな駐車場です。

山小屋にはA3の紙に印刷された登山地図が置いてありますので、念のため入手しておきましょう。2年前にグレートトラバースの田中陽希さんの講演会がこの山小屋であったようです。山好きの人が多そう。

沢道ルートの白谷本流コースはこの横がすぐに登山口になっています。



駐車場にあった登山道案内図。さきほどの案内図と同じ杉野集落の山の会の方々が作られたようです。



筆者が登りに使う三高尾根コースはコエチ谷登山口まで林道が続きます。



三高尾根コースは急坂が多く、虎ロープがそこかしこに張られています。とは言え、どうしても使わないと登れない程の場所はありません。



尾根つづきの隣の墓谷山への分岐点が鳥越峠になっています。



鳥越峠の林道終点が平地になっていますが、すぐに再び急坂が待っています。



余呉町菅並(すがなみ)の集落。滋賀最北の集落じゃないかな。キャンプ場があるようです。



700mあたりでようやく急坂が終わってくれます。同時にこのあたりから山頂の向こう東尾根コースまでずっとブナの自然林に覆われています。

ブナに覆われている場所は土がふかふかで畑に使いたくなります。



900mあたりでようやく横山岳の頂上が姿を現します。



頂上から東峰へ向かう尾根道が見えます。後で歩くけどこの尾根道が素晴らしい。



登山開始から約2時間半で頂上へ到着。11時10分で少し早いし景色ゼロなので、ランチを見送りましたが、この先、ランチ場所はありません。ここで食べといた方が賢明でした。



横山岳頂上から東尾根への道へ進みます。「ブナ尾根」と書いてある通りブナが多くて気持ちいい。



頂上すぐ右に折れると白谷本流コースへ向かう道。筆者は左へ進みます。



ヤマボウシもところどこに咲いていました。



これは上の、拡大写真ですが、花のように見えるのは実は白い葉っぱで、真ん中が花の集まり(「花序」(かじょ))になっているそうです。花序が実になっていますが、この姿が法師の頭に見えたのでしょう。



ブナ以外にもミズナラなど色んなブナの種類の広葉樹があります。



突如としてブナ林を抜けて左右が開けた尾根道が現れます。

詩的に言えば、天空に住む神々が通る回廊といったところでしょうか。山登りをしていてこういう道を歩くのがなにより最高に素晴らしい。



頂上から45分で東峰に到着。「頂上」と言っていますが、東峰の標高(1132m)は「頂上」と全く同じ高さなのです。

東峰はとても狭いのですが、かろうじてランチをします。今日もまとめ買いしたカップヌードルリフィル。さすがに同じ味(シーフード)なので飽きてきた。



東峰そばから見えるびわ湖の風景。右手にぽっかりと浮かぶ竹生島が見えます。湖畔の平地は長浜の町です。町の手前にあるのが小谷城があった小谷山。今年春に城址を訪ねました



自生しているコアジサイ。今はアジサイ真っ盛りです。



天空の回廊が終わって再びブナ林が出迎えてくれます。これはブナ科のブナです。



隣の阿蘇山(865m)に続く金居原コースとの分岐点。ここから東尾根コースの下りに入ります。



道で見かけた気持ち悪い赤いキノコ。触るのも少しためらいますが、同定にはツボとツバは欠かせないので撮影。

今、きのこ図鑑で調べるとベニヒガサ。ヒダが黄色っぽいところがアカヌマベニタケと違うところ。どうやら毒キノコではなさそうだが、これを食べる勇気のある人はいないだろう。



三高尾根コースに比べれば急坂が少ない東尾根コースですが、650mから550mあたりまでがヤセ尾根の急坂になります。ここを登るのはかなりキツイだろう。



東峰から約1時間で東尾根コース登山口に到着。ここから先は林道です。



東尾根コース登山口のそばにある夜這い橋と夜這いの水。夜這いの水は水が出ませんでした。水量は多いので枯れているわけでなく水路が破損したのでしょうか。

宮本常一さんの本を読むとよく夜這いの話が出てきますが、明治の前半くらいまでの農村では普通に夜這いはあったようです。

気に入った娘の家に忍び込み、小声で娘に挨拶をして返事をしてくれたらOKのしるしなので布団にもぐりこんだそうです。娘の親も黙認ですが、あまり頻繁に通うと咳払いをしたなんて話が書いてありました。

昔は夜這いも結婚も同じ村の中が原則なので、山を越えて湧き水で一息いれて隣村へというのは例外だったように思えます。杉村集落から横山岳を越えても山岳地帯なのでここを夜這いのルートに使ったとはちょっと考えにくい。



夜這いについて色々と想いを馳せながら林道を歩いていると自生のガクアジサイが。

この先を行って白谷登山口の駐車場に到着、帰路につきました。



これは車で帰りの林道で見つけたアジサイ。やっぱり普通のアジサイが豪華に見えます。





2023年6月10日土曜日

【敦賀】西方ヶ岳

 敦賀半島にある西方ヶ岳に行ってきました。

びわ湖から北の山は未踏破の山が多いのですが、まとめてみると700m~900m級の野坂山地と1100m~1300m級の伊吹山地の2つのグループに分けられます。

今回の西方ヶ岳は野坂山地に属する760mの山で、東は敦賀湾、西は若狭湾があるので景色が楽しみです。


これが詳細ルートです。常宮神社そばに車を停めて登山道に入り、西方ヶ岳、螺(さざえ)ヶ岳を踏破して、浦底登山口へと下山します。

帰りは県道141号を歩いて常宮神社まで行くと1時間以上かかるのでタクシーを呼んで帰りました。

後述しますが全体に急坂はなくゆるやかな岩場がえんえんと続く登りと下りなのでキツイというよりシンドイ登山となりました。しかしながら幾つかの眺望ポイントからの景色は素晴らしくて疲れを吹き飛ばしてくれます。

標高760mの低山ですが海抜0mから登るので登りごたえは十分あります。

累積標高830m、距離9km、行動時間5時間の山行でした。


湖西道路から敦賀市内を抜けて常宮(じょうぐう)神社の登山口からスタートです。駐車場は常宮神社の東の道路沿いに縦列で8台程停められるスペースがあります。常宮神社の駐車場は10台ほど停められますが参拝者用です。それ以外は道沿いにも駐車禁止の看板だらけでどこにも停める場所がありません。



常宮神社は以前は敦賀の気比(けひ)神宮の摂社であったのが、その後、独立したそうです。なぜだろう?



拝殿のすぐそばが海になっています。



常宮神社のすぐそばに登山口の案内がありました。


サルビア・ミクロフィラという名前の花。ツートンカラーの花びらがめずらしい。



常宮神社の付近がよく見渡せる岩場。奥の院展望所という名がついていますが、常宮神社は今は気比神宮の奥の院ではありません


今回のルートで数多く見られたササユリ。リトル比良でも見かけましたが、あのときも6月でした。


西方ヶ岳の頂上が見えてきました。非常にゆるやかな形をしているのがわかりますが、西方ヶ岳もその先の螺ヶ岳(さざえがだけ)も急坂という箇所が少なくて、ず~っとなだらかな登りと下り道が延々と続く登山です。こういう山もなかなかめずらしいような気がします。



この奥に銀命水という名の水場があります。そんなに冷たくはないですが、すっとした味に感じます。


オウム岩の手前で見かけた乳白色の岩石。数メートル四方に下から貫入しているように見えています。何かの変成岩なのでしょう。


西方ヶ岳はその全てが花崗岩で出来ています。(ピンク色が花崗岩)。面白いことに、敦賀三山と呼ばれる西方ヶ岳、野坂岳、雲谷山も全て花崗岩です。

花崗岩は硬くてもろいので、風化していくと角の取れた丸みのある形へと変わり、最後は真砂化してしまいます。

西方ヶ岳が延々と続くなだらかな山容であるのもそれが理由です。

湖南にある金勝アルプスも同様の山ですね。


(日本シームレス地質図より)


6月はアジサイの季節ですが、今回の登山ルートでちょくちょく見かけたコアジサイ。一般的なホンアジサイやガクアジサイのような装飾花が一切ないシンプルなアジサイ。


サツキの花もよく見かけました。



オウム岩からの景色。リトル比良に登ったときにもオウム岩がありましたが、由来はオウム返しのように声が返ってくるからなのでしょう。



ブナ林。ここ以外にもブナ林はありました。いずれも小ぶりのブナばかりでしたが、日本海の風で大木にはなりにくいのかも知れません。



登り始めて2時間40分、ようやく西方ヶ岳頂上につきました。キツイ登りがほとんどなかったのに意外にしんどかった。小屋が設置されています。

頂上は樹々に囲まれてしまっていて残念ながら眺望はまったくありません。



ランチは先週四国で買った懐かしい金ちゃんヌードル。以前はTVコマーシャルもあって関西でもよく見かけましたが、ご無沙汰です。徳島県の会社だったのですね。

懐かしい昭和の油揚げ麺のお味でした。



頂上から20分ほど歩くと分岐があり、そこから西に200メートルほどのところにカモシカ台があります。景色がすばらしいので立ち寄る価値が十分あります。



南西の美浜方向の景色。もうちょっと左に三方五湖があるはずですが、山に邪魔されて見えない。



これがカモシカ台一番の巨石で上から展望したのですが、登りにくいのでやめときます。こういうのは降りるほうが難しい。



西方ヶ岳から50分ほどで螺(さざえ)ヶ岳に到達。西方ヶ岳と螺ヶ岳の間はつながっていて谷はありません。

ここにも眺望はないのですが、木々の隙間から10メートルほど下ると絶景ポイントがある。



大人二人がかろうじて立てるくらいの岩場から東方向を望む。こうして見ると敦賀湾の奥深さがよくわかる。これだけ奥深いと日本海の荒波の影響も少なく、敦賀湾を良港にしている理由となっているのだろう。




上の写真の3倍ズーム。何やら天橋立のミニチュア版みたいな地形が見えますが、これは水島という名が付いています。あとでタクシーの運転手さんから聞いた話だと、水島は陸続きにはなっておらず舟で渡れるようになっていて、一時期テレビで紹介された後は、ビーチパラソルで一杯になったらしい。



南東の方角を3倍ズームで見ると敦賀湾の全体が見える。左にあるのは原発かと思ったけれど火力発電所です。



北方向を見ると海岸線が越前へとつながっているのがよく見えます。



浦底への下山ルートを螺ヶ岳から40分ほど歩くと長命水という水場があります。ここはルートから少し寄り道が必要なようで水は味わわなかった。



水島が近づいてきました。ゆるやかな坂道がえんえんと続くのでしんどい割りには、なかなか標高が下がってこない



今回のルートは巻き道と尾根道だけかと思っていたら沢に出てきました。一瞬だけの小さい沢でしたが。



ササユリの群生。3つくらい咲いているとあたり一面かぐわしい。贅沢な気分になります。



螺ヶ岳から1時間半ほどで浦底登山口に下りてきました。ここから県道141号で予約していたタクシーに乗って常宮神社の相棒の車まで戻ります。料金は2500円ほどでした。