2022年9月29日木曜日

堂満岳と比良山縦走

 (堂満岳から琵琶湖大橋を眺める)


今日は秋晴れなので、先週に引き続き比良山に登ります。先週、青ガレルートにチャレンジして相当体がナマっていたことに凹んだので、喝をいれるつもりで長距離ルートにチャレンジします。

ルートですが、比良駅を出発して堂満岳(1057m)に到達してから金糞峠に進み、そこから打見山のびわ湖テラスまで縦走してからロープウェイで帰る道のりです。

累積標高1662m、距離14キロ、行動時間約7時間でした。累積標高は先週の倍だったので相当キツかったですが、ヤマレコの記録では0.7~0.8の速度だったので、バテバテでしたが、少しはカンが戻ってきたかなと感じました。


長距離なので各ルートをまとめてみました。堂満岳までで累積標高が880mだったので大体半分です。先週の金糞峠と比較すると、先週はイン谷口までバスでしたが今回は駅から歩いたのもありますが、先週の青ガレから金糞峠の五割増し以上しんどかったです。

金糞峠からの縦走ですが、道迷いしやすいです。初めての人はGPS必須です。道が多くてテープを辿っても違う道に行ってしまいます。筆者は3回間違えました。

  1. 比良駅~ノタノホリ(1時間):ダレ道ほど整備されていないが特に支障なし
  2. ノタノホリ~堂満岳(2時間):稜線からの急登りがかなりキツイ眺め最高
  3. 堂満岳~金糞峠(30分):東レ新道。シャクナゲが多い。軽いアップダウン
  4. 金糞峠~南比良峠(1時間):道間違え。軽いアップダウン
  5. 南比良峠~烏谷山(1.5時間):疲れもあってしんどいアップダウン
  6. 烏谷山~木戸岳(1時間):途中比良山頂立ち寄る。軽いアップダウン
  7. 木戸岳~打見山(30分):スキー場の坂が精神的にツライ


ここからは写真の詳細です。

これは比良駅から見た比良山の全景です。



山名を同定してみましたが間違ってるかもしれません。2004年まで約40年間、北比良峠まで比良ロープウェイが運行しており、北比良峠~打見山までのロープウェイ間を縦走するコースを比良山縦走と呼んでいたようです。ロープウェイで登って縦走してロープウェイでで降りるというコースはなかなか珍しかったのではないでしょうか。



比良駅からイン谷口までのバスは土日のみなので歩いていきます。堂満岳へはイン谷口の手前で南西に折れるように進みます。



登山道の手前は倒壊したり朽ち果てた家が多くて少し不気味です。かつては別荘が多く建てられたように見えますが、こうなってしまうと別荘地の価値も急落してしまいます。高島のあたりは高級別荘地の価値上昇中ですが、なかなか別荘地を維持するのは難しいものだと思います。



この朽ちた家の裏から登山道が始まります。案内板もなく、すでにGPSがないと何もわかりません。



先週の青ガレやダレ道と違って、人気のない道であることは明らか。ですが歩くのに支障は特にありません。



途中にノタノホリという名前の沼がでてきます。「沼田の堀」が由来のようですが、少し縦長になっているので堀と言ったのでしょうか。



ここからブナの植生が多く見られました。堂満岳だけでなく比良山縦走コース全体にもブナが多いです。武奈ヶ岳もブナから来ているわけですが、同じ樹林でもスギよりブナの方が良い。



ノタノホリから少し歩きやすい道が続いたと、堂満東稜道と名のついた稜線の道に変わりますが、この道が急坂続きでかなりのキツさです。

UFOが不時着して地面に突き刺さったかのような岩。



今度は岩の上に置かれたた球体の岩



キツイ登りの急坂だけあって堂満岳頂上からの景色は素晴らしいです。比良駅から3時間。

琵琶湖大橋の堅田方面



伊吹山



近江八幡と沖島。海辺によくいる片側のハサミだけデカいカニのように見えます。



頂上で景色を見ながらチリトマトヌードルを食べて出発。ここから金糞峠までの道は山と高原地図に「東レ新道」と書いてあります。由来を調べてもネットに出てきませんが、東レの発足は滋賀工場だったということを知り、やはり東レの人たちが開発した山道なのでしょう。



東レ新道はシャクナゲが多く、南東には景色が開ける場所もあります。



先週も来た金糞峠。ちょうどトレイルランのスタッフが案内板を設置されていました。調べてみると、明後日の10月1日に比良トレイルランが予定されていて和邇川の途中(地名)そばからスタートして霊仙山、権現山、蓬莱山と越えてここ金糞峠を通ってなんと武奈ヶ岳を踏んで地蔵山から黒谷に下りていく29kmのコースのようです。累積標高1630mと書いてありますがもっとあるんじゃないかという気がします。



金糞峠から見た琵琶湖の景色



金糞峠からの縦走路は堂満岳をつなぐ東レ新道の西側のトラバース道を通りますが、道がわかりにくく、間違えて東レ新道の方に行ってしまいました。



比較的歩きやすい道を通って南比良峠へ到着。



眼下に近江舞子の内湖が見えます。実はここでも道を間違えた。



今回唯一の花の写真がトリカブト。こればっかりは鹿も絶対食べないのでしょう。母鹿はどうやって小鹿に教えるのでしょうか。



荒川峠。右上のピンクのマーカーがトレイルランのスタッフさんが付けてくれたマーカーですが、このマーカーに随分助けられました。



手前が次の目的地の烏谷山(1077m)、その左にはゴールの打見山(びわ湖テラス)が見えます。



烏谷山到着。「からとやま」と読みます。山に鳥の名前がついている場所は過去に死体を鳥葬にした可能性があります。



振り返ると堂満岳。



かなりはっきりとびわ湖テラスが見えてきました。登山開始から5時間半の疲れが少し収まったような。



少し突き出ているのは大津の松の浦。ペットと泊まれる高級旅館あり。



葛川越に到着



この巨大な岩の右わきを通るのですが、上にスズメバチの巣がぶらさがっています。刺激しないように静かに歩く。



葛川越から20分ほどで比良岳の案内版がでてきますが、本当の比良岳頂上はここから5分ほど奥にいったところにあります。頂上への道がわかりにくい。GPSがなければ多分見つからなかっただろう。



このブナの大木があるあたりが比良岳頂上。景色もなくホントに頂上?と思いましたが1051mを記した小さな標識がありました。



木戸峠に向かう途中で見かけたクリの実のじゅうたん。まだイノシシなどに食べられていないようで3つほど拾って帰りました。



木戸峠到着。お地蔵さんが4体。



ここから迂回してスキー場のスロープを登ってびわ湖テラスに進むのですが、単純な景色だけあって登っても進んだ感じがなくかなりツラかった。スキー場は今でもびわ湖バレイと言うようで雪が少なくなりましたがクリスマスから3月末までスキー場は営業するようです。



蓬莱山頂上をむすぶリフトを見ながら最後の坂を登ります。16時過ぎに到着しました。下山のロープウェイの最終便は17時なのでこれに乗り損ねるとヘッドライトも持ってきてなかったので間に合ってよかったです。



びわ湖テラスからの眺め。木製の人形がおもしろい。



さすがに9月末だけあって4時をすぎると空が少し茜色に。遠くに見えるのは皆子山。



滋賀出身の西川貴教の衣装などを展示してありました。




テラスデッキの外側に水のプールがあしらわていて、びわ湖の水面とつながっているように見えるので、インフィニティ・ラウンジというカッコいい名前がついています。



びわ湖テラスはシックな都会的リゾートといったところでした。帰りのロープウェイは数十人乗れるほど大きいので驚きました。片道なのに1900円もしたのにも驚きでしたが。



2022年9月24日土曜日

【比良山地】青ガレ、前山

暑さに弱く30度を超えると山登りはしないことにしていた1カ月半ぶりの登山となってしまいました。

台風14、15号と立て続けに到来してようやく涼しい風が吹いてきたので、以前から行きたかった青ガレに行きます。

4年前に武奈ヶ岳に登った時は西の朽木側の坊村から山頂を踏んで金糞峠から八雲ケ原でテン泊をしてから釈迦ヶ岳経由でJR北小松駅まで歩いたのですが、今回はJR比良駅からの往復です。



ルートですがJR比良駅からバスでイン谷口で下車、そこから大山口に行って青ガレルートで金糞峠に行き、前山から帰りはダケ道で大山口に戻ります。

久しぶりの登山なので短めのコースにしましたが、相当体がナマっていて疲れてしまいました。累積標高800m、合計距離9km弱、行動時間4時間半でした。


ちなみに「イン谷口」って変な名前だな~と思っていました。「Inn谷口」という名前の谷口さん経営のモーテルみたいだし。でも調べてみると、「イン谷」の入り口という意味でした。下の地図にもイン谷口から北に向かう「イン谷」が表記されています。イン谷の北西には神璽(シンジ)谷という何やら大仰な名前が付いていますが、昔の人は、「シン谷」あるいは「イン谷」と呼んでいたのでしょう。どういう意味なのか悩ましいです。
 



ヤマレコの3D図で見ると青ガレルートは一直線の沢登りで沢をツメるところが金糞峠なのに対して、帰りのダケ道は尾根ルートなのがわかります。「ダケ道」のダケは「岳」でしょう。尾根道のこと。

ついでに言うと、「金糞峠」という名前も気になりますが、「金糞」とは鉄鉱石や砂鉄から鉄を抽出した後の残滓のことだそうです。比良駅のあたりに中世の溶鉱炉跡があるそうですが、その残滓をわざわざここまで捨てに来るはずはないので、おそらく原料の鉄鉱石を金糞と呼んだのではないかと想像します



こういった山に関する名前の語源はこの本を読んで仕入れました。



JR比良駅から9時半の江若バスに乗ってイン谷口までいきます。



イン谷口は谷口さん経営のモーテルどころか何もありません。ここから金糞峠方面へ進みます。ちなみに今日はRX1Rを忘れたのでiPhone Xで撮影です。現在iPhone 14を買おうか迷い中。


レスキュー比良管理事務所。大きな看板に青ガレルートは避けてダケ道を通ってくださいと書いてあります。不安になるのと罪の意識がわきますが、今日は青ガレが主目的なので行くしかありません。今回だけですので許して。

また、小屋の壁には「遭難の第一原因は道迷い」と書いてあります。



イン谷口にも駐車場がありましたが、大山口手前にも30台くらいは停められそうな駐車スペースがありました。これなら車で来ればよかった。



ここが大山口で、左が青ガレルートで右がダケ道ルートです。



このルートはところどころに湧き水があります。冷たくておいしい。



青ガレルートの谷は「正面谷」という名前がついていますが、数カ所に砂防ダムが設置されています。



青ガレ手前の砂防ダムは土砂で満タン状態。よくこれで持ちこたえているなぁ



今日のルートの最高峰の前山(999m)が見えます。



このダムの右からいよいよ沢をツメる青ガレルートが始まります。金糞峠まで約40分の距離です。



青ガレ。ガレてる~。この道を200mも登るのかと思うと心が折れそうになりましたが、行ってみるとこの強烈なガレ場はここだけで、その先はガレ場というよりザレ場でした。滑り落ちて怪我をする危険性よりも落石で後ろの人が怪我をする危険性の方が大きいと思います。なので大勢で行くのはやめた方がいいでしょう。



岩石をよく見ると鉄を含んでいるように見えます。やはり金糞峠の金糞は鉄鉱石なのではないかと思います。青ガレの青色も金属鉱石の色なのでしょうか。


案内マークに沿って行けば決してコワい所はありません。



最後の急登の沢のツメ。


金糞峠に到着。これで今回の目的の青ガレ制覇は完了。ひと仕事終えた気分。


後ろを振り返ると琵琶湖の景色が見えます。



金糞峠から北東へ進み前山の頂上へ向かいます。右手は正面谷の崖の縁なので少々注意が必要ですが歩きやすい道です。



大きなキノコを見つけました。傘は黄色でツルっとしています。



帰宅してキノコ図鑑で調べてみるとどうやらヤマドリダケのようです。食用でイタリアではポルチーニと呼ばれ、クリームパスタなんかに使われる食材です。

でも、キノコ図鑑によると柄の上部に網目のないのはドクヤマドリといって毒キノコ。本当にキノコの同定は難しくちょっと間違えると毒キノコなので絶対食べない方がいいです。



金糞峠から前山への道は自然林が残されているので歩いていてとても楽しいです。普段の植林のスギ林では考えられないグネグネのスギ。


途中で開けた琵琶湖の景色。近江舞子あたりです。



前山の頂上(999m)に到着。頂上は広くマツの植林がされていました。京都でもそうですが日本人はやたらとマツを好みます。



北西方面を見ると武奈ヶ岳(1214m)が見えます。やっぱりここからでも遠いなぁ。



お昼は、ファミマで買った新発売の高級おにぎり。薄味でなかなか美味でした。


前山から下山していきますが、ここはウエ谷の斜面。滑るとヤバそうです。



案内板は錆びていて判読不能ですが右の看板にかろうじて「イン谷口」が認識できます。左は神璽(シンジ)の滝へのルートで地図上は難路になっています。



下山のイン谷口への道は「ダケ道」ルートで行きの「青ガレ」に比べて断然歩きやすいです。自然林の道で楽しいし比良山地の尾根に取り付くには大変良いルートかと思います。


途中、一休みできるカモシカ台。


最後に正面谷の沢を渡れば大山口です。


最初に通った大山口に戻ってきました。



イン谷口に到着したのが13時40分で、バスがくるまで1時間半もあったので比良駅まで歩いて帰りました。およそ30分の距離です。

途中の田んぼではまだ刈り入れていない稲穂が黄金色に輝いていて美しい。最近のお米は早生(わせ)が多いそうですが、これは奥手の品種でしょうか。

その横にところどころ咲いているのが彼岸花。お彼岸の時期を正確に察知して咲くのが不思議です。