2020年9月29日火曜日

【秋田】乳頭山と乳頭温泉

 3カ月もブログの更新をしていませんでした。コロナ禍で活動自体が鈍っていたのもありますが、9月にサラリーマン卒業と新生活準備であれこれ忙しかったのです。

で、9月にようやく退職できてブログを書こうかと思っていたところ、パソコンが故障してしまって1カ月間またブランクが開いてしまいました。2年前に購入したDELLのXPS15で、4Kのハイスペックモデルなのですがバッテリーが膨張して本体が膨れ上がり危険なので修理するしかないのですが保証期間切れということで、修理に3万5千円も取られました。

確かに保証期間切れなんだけど、納得できないものがあります。2年後に爆発する時限爆弾を組み込んだ製品を売って客に爆弾処理費を負担させるようなもの。

さて、肝心の登山記事ですが、めでたく退職した翌々週の9/27からほぼ一週間大好きな東北で過ごします。

前半の旅は乳頭山のふもとにある乳頭温泉郷に宿泊、乳頭山に登ります。

JALのウルトラ先得で予約、往復一万八千円なので早い、安い。秋田空港に到着後、レンタカー(トヨタのヤリス)を借りて乳頭温泉郷の黒湯温泉に到着しました。黒湯温泉に泊まるのは今回で三度目です。

人気の宿で予約したのが5カ月前だったのですが、一人用のミニマムな部屋です。トイレ別ですが、トイレの数も多く、ウォシュレットなので不備は全くありません。

ヘリノックスチェアを持参、狭い部屋ながらも読書をしたり快適です。


食事は山の幸が中心のものでした。名物のイワナの炭火焼きも付いてきます。


その他、山菜も豊富で、初めて食べて美味しかったのが、長細い茎にこぶ状に間隔をあけてふくれているミズノコブというものと、ムキタケというキノコ。

特にムキタケは、山のフカヒレとも言われているようで、グニャプリな食感がたまりません。キノコについては、ちゃんと勉強すれば色々な味に出会えるように思えます。



こちらの宿は食事なしの山小屋風の自炊棟もあります。主に登山愛好家の方々が連泊しているようです。


もうもうと立ち込める温泉の煙は硫黄の薫り。最初はいいのですが、あまり長く吸うと嫌気が差してくるので要注意。温泉に含まれる無色透明の気体である硫化水素(H2S)が空気に触れてコロイド粒子になり白く見えるそうです。雲が白く見えるのと同じ原理だそう。


乳頭温泉郷でもここは地中から湧いてくる源泉をダイレクトに使っているようで、お湯の温度は80度。沢の水で薄めて温度を下げているようです。


こちらは男女別の露天風呂。


こちらは夜の写真。今回は黒湯温泉に三泊したので、朝夕夜と何度も乳白色の湯を堪能することができました。


本当はダメなのですが、夜に誰もいないということでお風呂の様子を撮影(iPhone X)。こちらは混浴の湯です。なんだか気が引けるので人気の多い昼は入らないようにしていました。

男女別の湯と混浴の湯では湯元が違うようで、微妙に湯の肌触りも混浴のほうがまろやかな感じがしました。


こちらは混浴の露天の湯。鄙びた解放感がなんとも落ち着きます。


こちらは男女別の露天。黒湯温泉ではこの湯が一番のお気に入りです。


ちょうど男女の湯の境の上にほぼ満月が浮かんでいました。月夜の露天は最高です。


さて9月28日は朝ごはんをいただいてから乳頭山、またの名を烏帽子岳(えぼしだけ)に登ります。標高1,478mなので関西の山と比べるとかなり高いほうです。

ヤマレコのルートですが、乳頭山の西側にある黒湯温泉からほぼ真っ直ぐのピストン行程。


登り口から見上げたGoogle Earthの画像。乳頭山と笊森山(ざるもりやま)が尾根でつながっていて、そこからザックリと下にえぐれたような形になっています。
乳頭山は、溶岩が流れてなだらかに円いアスピーテ式(盾式)と、噴火でポツっと盛り上がった形のトロイデ式(鐘状式)が組み合わさったアスピトロイデ式の休火山だそう。

まさに乳房がアスピーテで、乳頭がトロイデなので、アスピトロイデなんて言う代わりに、「おっぱい式」と言った方がわかりやすいのでは(失礼しました 汗)


黒湯温泉は乳頭山のふもとに位置するので、登山口はすぐ横です。


男女別の湯の外側を迂回するように進みます。



源泉からお湯を供給するパイプ。黒湯温泉はすぐそばの湯を使うのでパイプの湯は使っていないとのこと。



湯けむりが山中から湧き上がっています。


南天。


最初に渡渉箇所があります。以前登った時はヤマレコルートもなく、間違えて沢を登って行き危ない目にあった記憶があります。


一本松温泉。かつては温泉宿があったそう。帰りに入浴します。



東北の山はブナに癒されるのです。


しばらく登って行くと徐々に笹薮の茂みが増えてきます。



ようやく景色が見れた。


笹薮がひどく、登山道を判別するのが大変になってきます。10年ほど前に登った時はこんなにひどくはなかったような気がします。



ようやく笊森山と乳頭山をつなぐ尾根に取りついた。


あいにく頂上はガスっているようです。


田沢湖が見えます。


さらにひどくなる笹薮をわけて登ります。うっかりRX-1Rにレンズカバーをしていなかったせいで、レンズが濡れてしまい、写真にもやがかかっています。


一本だけ色づいたイロハモミジがあります。今年初めて見た紅葉です。


ようやく藪漕ぎがなくなり、整備された道が現れます。


オオヤマリンドウのつぼみです。北の山で見られる日本の特産種。




乳頭温泉郷から登るもう一つのルートとの分岐点です。田代平山荘(避難小屋)があるルートですが、やはり一本松温泉のあるこちらのルートを選びました。


頂上にやってきました。



頂上の東側に意外に絶壁になっています。かなりコワイ。


安山岩と思われる火山岩。規則的な亀裂があるのは、比較的ゆっくりと冷えたことを示す。
断崖絶壁で崩れそうに見えるので先に行くのがかなりコワイ。


こちらは登ってきた西側。なだらかな斜面で、東側とは全く違った様相を呈しています。


少しガスが晴れたので断崖の下が見晴らせた。



宿の人が作ってくれたおにぎりをいただきます。RX-1Rのレンズの内部が結露してしまっていました。しばらくして結露は消えましたが、カビの元になるので注意しないといけません。


iPhone Xで、セルフィー。


下山中、すこし晴れてきたので田沢湖がよく見えました。レンズの結露のせいで白っぽいですが。少し画像を拡大しています。


レンズが曇っているので、iPhone Xで撮影。左の山が秋田駒ヶ岳です。


尾根の景色も青空が背景だと随分ちがう。


藪のなかを戻ります。


一本松温泉に戻ってきました。昭和の初めまでは温泉宿があったそうです。田沢湖の辰子伝説にちなんで「たつこの湯」と呼ばれていたそう。

ここで全て脱ぎ捨てて、入浴しました。かなりの熱い湯に、ホースで外から沢の冷水を入れて温度を調整しているのですが、ホースのそばは冷たく、その周りは熱すぎるのでかき混ぜたりして調整します。あと、底にはヌルヌルの水草があり見えないので何なのかわからず、少し気持ち悪い。


黒湯温泉に戻ってきました。



ここから先は、翌日に田沢湖周辺を観光した記事です。

朝の御座石神社。


田沢湖は日本で最も深い湖で、水深423mもある。ちなみに素潜りの世界記録が112m、スキューバダイビングの世界記録が332mなので、潜水艇でなければ潜れない深さです。

水の色は青く神秘的。透明度も以前は摩周湖に継ぐ日本で二位だったそうです。



太平洋戦争への気運が高まる中、田沢湖ダムの発電力を高めるために水量を増やすため、近くを流れる玉川の水を田沢湖に導水したのですが、玉川の水は、玉川毒水と呼ばれたほどの強酸性のために、酸性に水質が変化してしまったそうです。

1989年に中和処理施設が作られて酸性度は緩和されたのですが、未だに以前の田沢湖の水質には至っていないとのこと。


酸性化により田沢湖は生き物の住めない湖となってしまい、田沢湖の固有種である国鱒(クニマス)も消えてしまった。中和施設ができて、クニマスを戻すために、全国でクニマスの指名手配(5百万円の賞金)が行われたが発見に至らず、ため息をついていたところ、後日、富士五湖で見つかったそうです。


悲しい過去があったとは思えない静かで美しい姿。


湖畔に佇むのが辰子像。


こちら拡大像。辰子は古から伝わる民族伝承で、自らの美しさが保てるように観音様に祈り続けた辰子が、観音様が言う通りに泉の水を飲み続けて、龍に変身し、田沢湖が誕生したというものです。


田沢湖から見える乳頭山。この角度では、乳頭というより、烏帽子のほうが形的には適しているようです。


乳頭山に登った時、思いのほか寒く、次に登る岩手山が2000メートル級の山であることを考え、持ってこなかった手袋を急遽入手するために、車で少し行ったところにあるモンベルに行きました。

このモンベル御郷(みごう)は最近オープンしたばかりで、なかなか立派な店舗です。


その後、角館(かくのだて)の武家屋敷を訪ねました。久保田藩(秋田藩)を治めた佐竹家、芦名家の拠点の一つであったのが角館です。

以前、角館城もあったことから家来の武家屋敷も幾つかあるのですが、代表格である青柳家の屋敷を見学します。



資料とか武器庫とか、よくある展示で、違いがよくわからない私は通り過ぎてしまったのですが、道具館にあった木目込み人形がよかったので撮影。



これは戯曲でしょうか。雪月花三遊新話。人情噺というジャンルのようですが、芸者が刀をもっています。南総里見八犬伝と同じようなエンターテイメント小説のようです。今度読んでみよう。


島鮮堂というのは本屋さんのようです。


敷地内にあるハイカラ館


蓄音機。ホーンが彩色されていて華やか。


屋敷内からイロハモミジ


これはカツラの木。かなりの大木です。


これはモミの木。最大40メートルまで成長するらしいですが、これもかなりの大木。


こちら平福記念美術館。昭和の建築のようですが、なんとなく修道院っぽい。