京都の桜名所を紹介する前に、登山テーマのブログとしてとりあげたく。
2月に着陸したアメリカの火星探査機が送ってきた映像をベースにした番組がNHKでありました。
火星のオリンポス山は、太陽系で一番高い山(2万1千メートル)なのです。
直径550kmなので大体、北海道と同じ大きさです。
登れたら面白いだろうなと思いました。重力が地球の三分の一なので宇宙服がうっとおしいけどなんとかやれるかな?
上の画像は、Google Marsから引用しましたが、下が今回NHKで放送していたオリンポス山の高精細画像です。5メートル精度の画像が火星から送られてきたというから驚きです。
断崖絶壁が特徴的で、この断崖の高さだけで8千メートルあるので、ほぼエベレストの標高分だけあります。
アートにしてもいいほど美しいのが、北極冠と呼ばれる、二酸化炭素が凍ってドライアイス状になっている部分の映像です。
火星といえば、シュワちゃんとバーホーベン監督の「トータル・リコール」を思い出します。これもオリンポス山なのでしょうか。火星の月にあたるフォボスとダイモスが並んでいて美しい。
さて、本題の戻って、今回は京都の桜の名所の、なりひら桜の十輪寺と、西行桜の勝持寺(しょうじじ)を訪ねます。
その後、たけのこ料理で有名な筍亭(じゅんてい)でランチをします。
このあたり、桂川より西の、亀岡に向かう老ノ坂から下に広がる地域を「大原野」と呼びます。
まずは十輪寺です。平安時代の初期、源氏の祖である清和天皇に関連したお寺です。
香水のようないい匂いがすると思い見てみると、沈丁花(ジンチョウゲ)の花が咲いています。
境内に入ってすぐ目に入るのが、お寺の屋根を覆いかぶさるかの如く咲き誇る「なりひら桜」。樹齢200年位だそうです。
「なりひら」のいわれは、このお寺に六歌仙の一人、在原業平(ありわらのなりひら)が晩年、隠棲していたからです。
在原業平は、このお寺が建立されるきっかけとなった清和天皇の皇后である藤原高子(こうし)と恋愛関係にあったと言われています。
これは江戸時代の浮世絵ですが、平安時代に書かれた作者不明の伊勢物語を元にしており、恋愛関係にあった高子が、25歳にして宮中に入内することとなり、居ても立っても居られなくなった業平が、月夜に高子をさらうシーンです。
容姿端麗で歌詠みの業平にさらわれて、高子も夢心地の表情です。
結局、高子の兄に見つかって激怒されてしまったそうですが。
高子をさらう決断をする前に業平が詠んだ歌が、
月やあらぬ春や昔の春ならぬわが身ひとつはもとの身にして
高子が行ってしまって、月も春もいつもと違って感じるのに、自分一人だけはこうして悶々としていて辛いなぁ、といった感じでしょうか。
いつもと同じ春、同じ桜だけれど、どう感じるかは、毎年の自分の状況で変わるものです。
樹齢800年のクスノキの神木。
本堂の中庭。復元された襖絵と垂れ下がる桜が見事。
本堂奥の部屋から見上げた桜。
裏の高台に登る階段があり、上からも、なりひら桜の美しさを味わうことができます。
業平が築いたとされる塩釜を復元したものがあります。11月には、塩釜清め祭が行われるそうで、御利益があるとされる立ち上る煙にあたりに参拝者が来られるようです。
当時は海水を人力で砂浜に運んで、塩分がたっぷり浸み込んだ砂を煮詰めて塩を作ったのですが、業平は、難波から運んだ砂をここで煮詰めて、恋愛成就できなかった高子に思いを寄せたと伝えられていますが、個人的に、かなり信憑性の薄い話に感じます。近くに小塩山があるので、それに引っかけただけかも知れません。
業平の墓もあります。お墓というより記念碑的なものでしょうか。
さて、お次は少し北へ移動して、勝持寺(しょうじじ)を訪ねます。
願徳寺前の駐車場に停めて、5分ほど坂を上ると仁王門がでてきます。この仁王門を除き、全ては応仁の乱で焼失後に再建されたものです。
役行者が創建、伝教大師最澄が再建したと寺伝にはあるそうです。
途中にあった竹林。墓地になっています。
勝持寺は小塩山(642m)のふもとにあります。
石段をあがると、めざす桜のある南門です。
鐘撞堂の横に舞い上がるように立っているのが西行桜です。
西行法師(さいぎょうほうし)は、吉川英治の新平家物語で読みましたが、平清盛の知人で、世をはかなみ、泣きすがる家族を蹴飛ばして近衛兵の身分を捨てて出家した人物です。
この勝持寺で断髪して出家し、植えた一株の桜に、「西行桜」の名が付いたそうです。現役の西行桜は今風のソメイヨシノですが、当時はヤマザクラだったのでしょう。
吉野山の奥千本にも西行庵がありましたが、”西行&桜”のセットものは、室町時代の世阿弥作の「西行桜」が元になっています。
西行桜の話は、
桜の木のそばに庵を結んだ西行は、桜見物に多くの人々が集まるせいで静寂を乱され、「人が集まるのは桜の咎(とが)じゃ」と歌に詠んだところ、夜に老桜の精が現れ、「桜の咎とは何事じゃ!桜には何の罪もないわい」と怒り、舞をまった、という話です。
「人間というものは気持ちの持ち方次第で、見ている景色が変わる」というところで、何やら先ほどの業平の歌に通じるものがあります。
(毎日新聞サイトより)
西行桜の他にも多くの桜が咲き誇っていました。
桜の樹皮も、さびの情緒があって良いものです。
さて、大原野の二か所の桜の名所を訪ねたあとは、たけのこ料理を食べに筍亭(じゅんてい)に行きました。
沓掛ICのそばにある大枝塚原町にある筍畑で朝採りしたタケノコだそうで、大変美味でした。旬の季節以外は風味を落とさず冷凍したタケノコを使っているそうですが、やはり採りたてを食するのは良いものです。
こちらの料理屋さんは、天鏡院というお寺と一体となっていて、桜の名所でもあります。
食後に本館を出てすぐの遊歩道を歩いてみると、まだ満開には至っていないようですが、美しい景色が楽しめました。
この冬はツバキが良く咲いた年らしく、どこに行ってもよく見かけましたが、こちらのツバキの花は特大です。
これは多分、寒緋桜(カンヒザクラ)。紅色が強めで、小さくて花弁が下に垂れ下がるのが特徴。
今年も桜を堪能したあとは帰路につきました。いや~、四季があるって本当にいいですね。
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