2024年8月3日土曜日

ロックガーデンから六甲山最高峰

 パリオリンピック真っ最中、梅雨が明けて8/2は神戸市は36度の気温ですが、その酷暑のなか、六甲山(931m)に登りました

六甲山は2018年に新神戸駅から宝塚駅までの縦走と、芦屋駅から有馬温泉までの横断をやっています。

6年ぶりになる今回は芦屋駅から六甲山最高峰までのルートです。距離は前回と比べて短いのですが、なにせ酷暑なのでかなり厳しい登山となりました。

下図が今回のルートです。JR芦屋駅を出発し高座の滝からロックガーデンと言われる岩場の連続を抜けてゴルフコースを横断して山頂に向かいます。

2018年に有馬温泉に抜けた時もほぼ同じルートだったのですが、前回は芦屋から会下山(えげのやま)遺跡を通ったのでロックガーデンは通りませんでした。風吹岩から先は前回と同じです。

下山は頂上で仲間が車でピックアップしてくれたので登りだけの山行でした。

累積標高1000mなのでなかなか本格的な登山です。今回のパーティには登山初心者がいたのと、酷暑で大変つらく、休憩を多くとったので合計時間6時間半となりました。距離は約9kmです。

今回初めてロックガーデンに行ったわけですが、金勝アルプスほどではないものの、想像以上の岩場の連続で手ごたえのある登りがとても楽しかったです。人気があるだけのことはあるなと感じました。


標高1000メートル近い六甲山地は約200万年前に隆起してできた山で、隆起の原因はプレートが西へ移動したため地表がずれてシワ状になったためのようです(六甲変動)。

Google Earthで北西方向から眺めてみると、六甲山地-大阪湾-生駒山地/金剛山地が凹凸状になっているのがよくわかります。

六甲山も金剛山も地下にあった花崗岩が押し上げられた後に、硬くてもろい花崗岩が削れた結果、奇岩、巨岩が林立する形状となり、その厳しい岩山を目当てに修験者が集まってきたわけです。


9時前にJR芦屋駅に集合してから出発です。みんなバスで登山口に行くと思っていたらしく「え?ここから歩くの?」という反応でした。

芦屋川沿いに進みます。すでにかなりの暑さです。ロックガーデンの案内版が出てきました。



芦屋川から支流の高座川に向けて進みます。



しばらく進んで行くとロックガーデンへのルートと会下山(えげのやま)遺跡のルートの分岐点に出てきます。前回6年前に来たときは左の会下山ルートを進みました。

ちなみに会下山ルートにはロックガーデンのような岩場の登りはほとんどありません。



まだ舗装はされていますが、ここから高座川を左に見ながらの山道になってきます。



瀧の茶屋に出てきました。手前にトイレもあります。芦屋駅からすでに40分ほどたちました。



左奥に見えるのが高さ10mの高座の滝(たかざのたき)で手前の社が護摩堂です。高座の滝は昔は行者が滝行をしていたそうです。



高座の滝から標高100mほどの間がロックガーデンです。「ロックガーデン」という名称は大正時代に藤木九三という登山家が命名したそうです。

このルートの南西側に地獄谷というすごい名前の別ルートがあり、そちらは本格派のロッククライマーが楽しめるコースになっていますが、一般人は我々のコースで十分岩登りを満喫できます。




途中にあった案内版に「行き止まり山」と記されています。

このあたりを前後して北西方向の荒地山へ向かう分岐があり「キャッスルウォール」という名前のロッククライミングルートがあるそうです。高座の滝から「地獄谷」と「キャッスルウォール」を進むのが六甲山の最高難度になるのでしょうか。



芦屋駅から2時間ほどでようやく風吹岩(447m)までやってきました。木陰から開けた場所にでると灼熱の太陽がギラギラと照り付けるので長居はしていられません。



南東方向に景色が広がります。芦屋浜から西宮浜、奥には大阪湾が見えます。



風吹岩のてっぺんまで登りましたが景色はさして変わりません。若い男性が「ここが六甲山の頂上ですか?」と聞くので頂上はまだまだ先だよと答えると、悲痛な声をあげて嘆いていました。

風吹岩まで来る人々の多くはここから金鳥山を通ってJR岡本駅まで下山するのが一般的なようです。かくいう我々のパーティーも暑さでかなり辛そうだったので、最高峰まで行くか下山するかの判断を仰ぎましたが、みんなの意志は変わらず。すばらしい!



風吹岩からの道はロックガーデンのような岩登りはなくよく整備されていて歩きやすいです。木陰の下を歩くのと標高が高くなってきたのもあり、暑さもかなりやわらいできました。30度あるかないかでしょうか。



沢の水は汚染がひどく飲めないとのこと。「六甲のおいしい水」のおかげで、清浄な水のイメージがあるので残念です。調べてみると、ハウス食品の「六甲のおいしい水」は舞子の山手にある工場で取水しているとのこと。あそこまで西に行くと六甲山地と言えるかどうか微妙ですが。



ゴルフコースを横断します。涼しそうなポロシャツの一行がゴルフカートに乗って次のホールへと向かって行きました。



このコース「芦屋カンツリー倶楽部」は戦後まもなく出来たコースのようで、ちゃんと18ホールあって、よくこんな山中に作ったものだと思います。Google Earthで見てみるとちょうどここだけ平坦になっています。



雨ヶ峠(613m)に到着。芦屋駅から4時間近く経ちました。休憩の回数が増えてきて、筆者も含めて全員バテ気味。

でもここ雨ヶ峠から50mほどいったん沢まで下るのですが、この下りが意外なほどに苦しかったので、ここから少しペースを落として進みます。



樹々のすきまから最高峰の電波塔が見えました。



沢まで下りてきました。これは芦屋川ではなく住吉川の上流です。水が冷たくて大変気持ちよく、顔をジャブジャブ洗ってタオルを濡らして涼をとります。ホント、裸になって入ったら死ぬほど気持ちいいだろうと思います。



本庄橋跡。神戸から有馬までの道の歴史は大変古く、魚崎で採れた魚を有馬まで運んだことから魚屋道(ととやみち)と言われたそうで多くの人馬が通行したので立派な橋が必要だったのでしょう。



本庄橋跡の案内版にあった江戸時代寛政10年の地図。太い線でかかれた道路が今日のルートとほぼ同じ。有馬へと続いています。



最高峰の電波塔がずいぶん近くなってきました。



風吹岩からずっとなだらかな坂道でしたが、七曲から一軒茶屋までの標高250mがきびしい登りになります。ですが、階段が整備されているのでゆっくり確実に足を乗せていきます。



芦屋駅から5時間半でようやく一軒茶屋に到着しました。



6年前も7月で、ここで食べたかき氷の味が忘れられず、みんなと一緒に再びいただきます。



かき氷でゆっくりと休憩した後に、最終目的地の六甲山最高峰(931m)までやってきました。



最高峰からの景色は西側の山々が見えるだけです。



最高峰から舗装された道を通って下りる途中の景色が一番素晴らしかったです。



上の写真のズーム。大阪キタのビル群が展望できます。



15時半に一軒茶屋で仲間が車でピックアップに来てくれたので、5人車に乗って下山しました。この後、甲子園の銭湯「浜田温泉」で汗を流しましたが、水風呂で熱暴走してしまった体を急速冷蔵したのが最高に気持ち良かったです。

この「浜田温泉」さんは町の普通の銭湯なのですが露天風呂があり、清潔な銭湯でした。お湯も無色透明ながら2001年に掘削した天然温泉だそうです。

温泉でリフレッシュしたあとは、甲子園のノリノリのイタリアンレストラン「Tokidoki」で美味しいワインと料理で楽しみました。

帰りの新快速京都駅では、ちょうど8月3日の淀川花火大会のフィナーレあたりの時刻に電車が淀川を渡ったので、船から発射される打ち上げ花火の玉が大迫力で見れて実にラッキーでした。


2024年7月29日月曜日

(猛暑なのに涼しい)【越前】ホノケ山

 (頂上近くのブナの柱廊)


梅雨が明けて7月29日の京都は39度になりましたが、福井県南越前にあるホノケ山(737m)では27度の涼しさでした

ホノケ山は福井県の北部にある山で、その語源は「火の気」だと言われています。

越前は昔から中国など大陸からの船と京都を結ぶ最短距離であったので、交易に大変便利であった反面、上陸した軍隊が京都に攻め入られるのを非常に恐れていました。

なので、何か緊急事態が発生したときに素早く京都に知らせる狼煙(のろし)の役割を担っていたのではないかと思います。



登山ルートです。国道305号線のホノケ山トンネル手前の細い道を入ったところの第2登山口から山頂までの往復です。途中に足谷(あしたに)山というピークがあるので帰りに立ち寄りましたが、景色もなく特に寄らなくてもよかったです。

景色については白山が見える以外はあまり良くありませんが、ブナ林の道を登るのが気持ちよいです。そして何よりも灼熱地獄の下界と比較して気温が低く、時折吹いてくる涼しい海風が最高でした。

距離7km、累積標高650m、行動時間3時間半の山行でした。



起点となる奥野々第2登山口に車5台程度の駐車場があります。国道305号線のホノケ山トンネル手前の細い道を5分程度進んだところにあります。

この細い道は舗装されてはいますが、大きな石が散らばっておりタイヤがパンクしないか心配なのと、離合ポイントがなく、対向車が来たらどうしようかとヒヤヒヤしながら進みました。

ちなみにホノケ山トンネルは2013年開通で、それまでは日本海からはいったん越前市まで行ってから国道365号線を進むしかなかったそうです。

登山開始が9時30分です。



登山口の看板には登山ルートを「まぼろしの北陸道」と書いてあります。



調べてみると「まぼろしの北陸道」とは越前市の武生駅あたりから南西に進み、今回のルートを通過してそのまままっすぐ日本海の杉津(すいず)まで続いていた道のようです(全長約25km)。

日本書紀にも出てくるというたいそう古い道で、角鹿(つのが)と言われた敦賀の塩を府中(越前武生)まで運ぶのに使われたそうです。

今庄、木の芽峠を通る北国街道が出来る以前の道なので、確かに「まぼろし」と言われるくらい古い道です。



一般的な尾根ルート同様、登山口から尾根に取り付くまでは、それなりの急坂ですが、気温が大きく30度を下回っているので大バテせずに登って行くことができました。

登山道は一列縦隊なら十分な幅があり、樹木名の札がかけられているのを見ると、地域住民の愛情が感じられます。地域の人に愛されている山は登りやすいし登っていて気持ちの良いものです。



円周状の尾根道なので登り始めてすぐにホノケ山の山頂が確認できました。



今日のキノコ第1号は、多分キヌオオフクロダケ。食べられます。



登り始めて30分弱で尾根道に来ました。ここは北西方向へ続く瓜生野の登山口からのルートの分岐になっています。「まぼろしの北陸道」は、この北西方向の尾根をひたすら越前武生まで続くことになります。



きのこ第2号は、きのこ図鑑を見てもわかりません。傘の表面はヘビキノコモドキに似ているけれど柄が灰色でなく白色です。傘の形は多分変形したのでしょう。元の形がわかれば同定できたかも。



続いて第3号。これはテングダケっぽいけど、テングダケだと鍔があるんですよねぇ。ホント、きのこは難しいわ。



ホノケ山トンネルの上を越えたあたりから切り通しの道が続きます。案内版には数百年の人馬の通行で削り取られていったように説明されています。切り通しのおかげでアップダウンの少ない歩きやすい道になっているわけで、歴史の重みを感じます。



切り通しの道が終わるあたりからブナの原生林になってきます。




菅谷峠。「すげんたん」と読むようです。車道が接続されていて東屋もあります。ここに駐車して登るのがホノケ山への最短コースです。でも、この車道は地図でみると、国道からかなり長いウネウネ道なのでちょっと運転したくありません。



メスのクワガタが地面を歩いていました。



頂上近くなると勾配がきつくなってきますが、尾根道に密生するブナの木々はまるで柱廊です。



登り始めて1時間40分ほどで頂上に到着。割と広めでベンチが設置されています。



広めの頂上なのですが、景色はこのフレームだけです。西北西の方向ですが、どこからが若狭湾なのかガスっていてわかりません。ちょっと景色は残念でした。



頂上にある地図盤。ホノケ山トンネルが描いていないので2013年以前のものです。誰かが「ホノケトンネル」と彫っています。



白山方向は樹々に邪魔されてほぼ何も見えません。



頂上の気温は多分25度くらいでしょうか。まるで避暑地でくつろぐような気分で、カップヌードルの新作をいただきました。日清はカップヌードル以外のカップ麺を開発するよりも、カップヌードルのサブブランドを開発する方向に行ってますね。

でもカップヌードルのサブブランドはどれも美味しい。これも本物のブイヤベースの味がします



頂上にいたオニヤンマ(T氏撮影)。



頂上から5分ほど下ったところの方が景色は良いです。これは北北東の方角で、南越前市の町並みを望みます。



さらに北東の方角には白山も確認できました。



これがクローズアップ。真ん中すこし左が白山です。



下山途中に分岐して足谷(あしたに)山に寄ります。



分岐点から10分くらいで足谷山に到着しました。反射板が立っています。



足谷山からの景色はホノケ山からの景色よりは良い(マシ?)でした。ここからも白山が見えます。ですが途中、反射板へのアクセス用に作られた道路に降りる箇所があり、ジャリでとても滑りやすく危なっかしいので、わざわざ足谷山に立ち寄る必要はなかったです。



クローズアップ。真ん中が白山。



1時すぎに下山した後、敦賀港のどんと屋さんに行きました。ここは10日前の深坂古道探訪のときに奥さんと行ってとても美味しかったので今回はT氏を連れて行きました。まったく同じもの(どんと丼+いくらトッピング)でしたが、期待を裏切らない味でした。