2017年10月1日日曜日

弥山、八経ヶ岳

近畿最高峰と言われる大峰山の八経ヶ岳にいってきました。

何年か前に、管理された駐車場ができたおかげで、八経ヶ岳に日帰り登山が可能になりました。今回は、駐車場のある登山口から登りますが、日帰りでピストンするかわりに、八経ヶ岳の横の弥山(みせん)でテント泊をして、まっすぐ北西へ突き抜けるコースを取ります。

朝8時45分京都発の近鉄特急に乗り、橿原神宮前で乗り換えて、吉野行の特急に乗ります。料金は乗車券こみで2070円なので、JRよりも安い気がします。車内も快適で、正直こんなに奈良って便利だったのかと思いました。

10時11分に下市口駅に到着し、10時20分の奈良交通バスに乗ります。

写真はバスの窓から下市口駅を見たところ。日曜日で、自転車ツーリストたちが電車に乗り込むのに自転車を解体していました。



ちなみに乗った奈良交通バスは洞川温泉(どろかわおんせん)行きなのですが、ちょうどテレビで、「過疎化地区を走るバスの工夫」と称して、バスの空いている後部座席を宅配便用に使う試みが紹介されていました。


私が乗った洞川温泉行きバスが写っています。


洞川温泉は温泉旅館もある温泉街で、他に天川温泉という場所もあり、こちらは宿はないそうです。温泉が目的ではない我々は、天川川合(てんかわかわい)のバス停で約1時間後に降車し、予約していた天川タクシーに乗り込みました。

天川タクシーさんは、タクシー一台の個人営業で、天川川合のバス停のすぐ横にある案内所から、登山口がある、行者還(ぎょうじゃがえり)トンネル西口まで連れて行ってくれます。料金は約5000円。二人で割り勘すれば決して高くはない。

とても話し好きな運転手さんで、大峰の山々についていろいろ教えていただきました。

こちらのトンネル西口にある駐車場は150台駐車スペースがあり、一日1000円だそうです。以前まで弥山小屋を運営されていた方が、駐車場を運営されています。


到着したのが12時過ぎだったので、昼ごはんタイムでしたが、駐車場管理の方から橋をわたってちょっと行ったところに風があたらないいい場所があるよ、と聞いたので、そちらで、カップヌードルを食べた。


さあ、いよいよ出発です。今回は、以前赤坂山を一緒に登った相棒と一緒なので、安心。


今日の目的地は弥山小屋です。まずは大峰奥駆道出合まで尾根にむけて登ります。



いきなり鉄梯子登場。相棒はペースが速くどんどんつき進んでいきます。


このルートは、最初と最後が大変と言われています。登山開始から一気に高度をかせぎます。



ブナの木々の中を進みます。


ようやく奥駆道に合流しました。


奥駆道は修験者が熊野本宮に向けて山中を駆け抜ける170キロのメインルートです。ちょうどここは、弥山と行者還岳(ぎょうじゃがえりだけ)の間になるわけです。

この地図は弥山小屋にあった案内板ですが、右の太い赤い線が大峰奥駆道ルートです。これでもまだ一部です。



行者還岳は行きしなにタクシーから見ると烏帽子のようにとがった形をしていましたが、そんなに登るのは大変ではないということ。


奥駆出合から北東に進むと行者還岳。我々は逆に進みます。


ちょっと休憩。これがテン泊なのでカリマーアルピニステ40-55L、金剛山以来二回目の登場です。このザックは偶然サーマレストがうまく収まることが分かったのでより気に入っています。


弥山に向けて進みますが、しばらく尾根沿いの歩きやすい道が続きます。


小さな青い花が咲いていました。見たことがないので調べてみると、ミヤマトリカブト(深山鳥兜)。あの猛毒のトリカブトです。兜のような花だからそういう名前がついたのですね。しないだろうけど、口に入れてたら死んでたと思うと恐ろしい...


まだ少しですが紅葉が始まっています。


唯一葉が真っ赤になっているのはウルシだそうです。触るとかぶれる。とても健康そうに苔が育っていて、ウルシの紅葉と一緒にパチリ。


尾根なので風がモロにあたるのでしょう。風でなぎ倒された木が多くありました。


無口な相棒はひたすら進みます。ついていくのがなかなか大変。


折れたあとにキツツキ穴がいっぱい。



理源大師像の場所に出て気ました。八経ヶ岳を下調べする際に、何度この写真が写っているブログを見たことか...実物に出会えて感無量です。


理源大師はまたの名を、聖宝(しょうぼう)。弘法大師、空海の弟に弟子入りし、その後、重職につき、醍醐寺を開いた。役行者を信奉されていたそうです。とても温和な顔立ちをされています。


そばにあった鮮やかな赤い実をたくさんつけた草。調べると、マムシグサらしい。これも猛毒で、下痢をおこして死ぬ場合もあるという。キレイだけど、なんでこんなのにばかり出会うのだろう?


理源大師像からは息をつかせる場所もない上り坂が続く。かなりキツイ。
途中で景色が見える場所があった。山上ケ岳かな?


きれいに設置された階段が出てきた。かなり長い。


見渡す限り山々。京都や滋賀とちがって奈良の奥深さを感じます。相棒は、「山しか見えないのでつまらん」、と。確かに山以外ナッシング。


尾根沿いに歩いてきた大峰奥駆道の方向です。


休み休み登っていきます。


鉄の階段が。ようやく小屋に着いたのか!


小屋らしきものが見えて、やれやれです。


弥山小屋の案内板です。平安時代には120か所もの宿があったのですね。宿といっても雨風をしのぐだけのものだと思いますが。


ネットで見つけた大峰七十五靡(なびき)。
マグマの貫入による火成岩(マグマが冷えて固まったもの)のせいで断崖が多いと書いてあります。


予約していた弥山小屋で到着を連絡して、すぐに弥山神社へ。神社は小屋からは目と鼻の先です。


登山中は周りの山々も見えたのに、あいにくガスのせいで景色どころか前もよく見えない。


これは小屋のそばの分かれ道をパノラマモードで撮ったもの。右に行くと八経ヶ岳、左にいくと国見八方覗。本当は国見八方覗で日没の景色を楽しむつもりだったのだが、この状態ではゼロ視界なので結局行かずしまい。またのお楽しみにとっておきましょう。


二度目のエスパースソロアルティメイト設置。こうして見ると悠々としているようですが、実はここは小屋の真ん前(笑)。ちなみに相棒は小屋泊です。夕食、朝食は二人とも小屋でいただきます。


ここが小屋の入口です。夕食は5時からなのでそれまでテントの中で休憩。ちなみにこのあたりには他にテントを張れる場所はないようです。ネットを見ると、国見八方覗で張ってる人がいて、晴れているなら抜群の場所ですね。うらやましい。


小屋の食堂です。我々以外におっちゃんペアが二組いました。みなさんそこそこの登山好き。でもテン泊は私だけ。気温が落ちてきてヒーターをつけないと寒い。

お食事は、小さなハンバーグに野菜等々。標高2000m近くで食べれるのだから贅沢なものです。水はもちろん、缶ビール(500円)やワンカップ酒も置いてあります。

ちなみに、これら物資は、貨物用のモノレールで運ばれるそうです。出発地点はタクシーの運転手さんが、「ここだよ」と教えてくれましたが、到着地点はどこにあるのでしょうか?小屋自体も場所を考えれば大きい建物ですし、キッチンにはレストランで見かけるような大型の皿洗い機なども設置されていて、どうやって運び上げたのか気になりますが、あまり気軽に話しかけるような雰囲気ではありません。

ま、こんな寂しいところで小屋の番をし続けるのは、ある意味行者に近いものがありますよね。


食堂はとても広く、上のテーブルの他にもたくさんテーブルがありました。
壁には写真が掛かっています。

これは凍り付いた滝です。


手書きの奥駆道の地図。この周りでは大普賢岳が一番難易度が高いそうです。


この写真は、おそらく八経ヶ岳から見たご来光でしょう。富士山が見えています。富士山は空気の澄んだ冬でないとなかなか見ることができないそうです。

私たちは、富士山どころか、ナーンニモ見えん。トホホ。


夕食を終えて6時過ぎには就寝のためにテントに戻り、そのまま翌朝6時まで約12時間も寝ました。夜中に、真っ暗な霧の中、ヘッドライトをつけて小屋の裏のトイレに行きましたが、まさしく一寸先は闇で、迷ったら終わりだな、とちょっと緊張。

起床後、同じ食堂で朝食をいただき、テントを撤収して、八経ヶ岳へ向かって出発です。

ここからは、小雨が降っていたので、RX1Rは使わず、Experia Z5の写真になります。

まずは鹿よけの扉を開けて進みます。


雲の中を歩いているようです。


八経ヶ岳まではすぐでした。景色は真っ白ですが、一応近畿最高峰を踏んだぞ!


今回、秋登山のために新調したパタゴニアのクラウドリッジジャケットです。日本人が日本の天候に合わせてデザインしたハードシェルジャケットです。ゴアテックスの代わりに東レが開発した素材を使っているそうです。
まさに、クラウドリッジ=雲の尾根、今日にピッタリでした。


ちなみに、パンツも新調。こちらはノースフェイスの定番で、常に高評価のバーブパンツです。伸縮素材がはきやすく、腿にベンチレーションがあり、裾がしばれるようになっています。しかもスリムでかっこいい。


頂上でコーヒーでも、と思いましたがあいにく小雨がパラパラふっています。
写真をとるにも真っ白だし、寂しい頂上です。


雲がなければ見事な景色がこの向こうに広がっているんだろうなー、と想像。


霧の中ですが、枯れ木が多いのが目立ちます。これらの木々はシラビソかトウヒだということで、枯れてしまうのは鹿が食い荒らすからだそうです。


何やら行者のお札が積み重ねられています。元々役行者が法華経を8巻、埋納したという言い伝えから、八経ヶ岳という名前になっているのです。


八経ヶ岳を後にして進みます。次は明星ケ岳。


明星ケ岳はレンゲ道から少し脇道に行かなければならないのですが、ガスっているせいか、最初は分からずに通り過ぎてしまいました。しかも明星ケ岳に続く道が奥駆道で、釈迦ケ岳に続く道になっており、ずんずん行って明星ケ岳のそばを通り越してしまいました。ヤマレコアプリのおかげでなんとか軌道修正。


なんとか明星ケ岳頂上に到達。


看板の下に小さなお地蔵様。



霧の中を進みます。歩きやすい道です。




説明板。シラビソやトウヒはコケの上で発芽するそうです。シラビソとトウヒの違いを説明してくれているのだけれど、よくわからない。実がつくと、青で上なのと、茶色で下で明確に分けられるのだが。


すぐそばにあったこれは、どっちだ?先端がまるいからシラビソかな?


登山道から若干外れるけれど、すぐそばなので登ってみた日裏山。


日裏山からの景色。



高崎横手出合。この黄色のルートで上から来たのですが、弥山小屋から狼平を通ってここに合流するルートもある。


これはマムシグサではなさそう。クロガネモチかな?



小雨が止んだのでブレイク。コーヒーをいれて飲みました。


カエルが。人に会わないのかあまり怖がらない。体表にイボがあり、側面に黒い線がある。調べてみると、どうやらニホンヒキガエルという種類らしい。
かなり強い毒性を持ち、最悪死に至ることもあるそう。

今回毒性生物に出会うこと三度目です。


コーヒーブレイク中に、帰りの天川川合からのバスを見ると、12時39分を逃すと次は15時15分。二時間ほどの距離を一時間で行かないと、3時間近く待ちぼうけを食らわされる羽目になる。すわっとばかりに走り出す。


かなり頑張ったがどうやらバスに間に合わないことがはっきりしてくる。


遭難者の慰霊塔でしょうか。登山口近くの階段ですが、じゃりを鉄製の網で覆う形で作られています。はじめてみたタイプですが、この段がかなり高く、走って疲れた太ももにつらい。


ようやく下山が終わりました。とても長い下山ルートでした。



後ろを振り返ると手前の山は見えたが、奥の山々にはお目にかかることもできず。


弥山川を渡る橋です。


かなりの高さです。エメラルドグリーンの川面が美しい。



バス停のそばにあった「かどや食堂」。店長だか、店にはいるなり、がらがらの店内なのに荷物は邪魔にならないように、だの、濡れたザックを壁にもたれかけるな、だのとうるさい。でもココしかないから仕方なしにカレーそばを食べた。

3時間近くバスを待つしかないかー、と思っていたところ、弥山小屋で一緒だった方が偶然、立ち寄られて、おしゃべりをしているうちに、駅まで送ってくれることとなった。


お年を聞いてみると81歳だそうです。その年で八経ヶ岳を登るとはすごい。
おじいさんが美味しいと毎回立ち寄るお店で、評判のこんにゃく煮を買う。串にさしたこんにゃくで一本100円。


送っていただいたおじいさんにお礼をいって、下市口駅から近鉄特急に乗ります。
この電車は、橿原神宮前乗換の「ビスタ号」。近鉄の特急は頻度も多く安いしきれいだし言うことなしです。


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