2020年から世界を大混乱に陥れた新型コロナですが2023年のGW明けについに公式にII類からV類へ変更となりインフルエンザと同じ扱いとなりました。それでもまだ大多数の人たちは周囲の眼を気にしてマスクをしている状況です。
雨で終わったGWが終わり晴れ予報が出ている5月9日に前から行きたいと思っていた氷ノ山に行きました。
氷ノ山(1510m)は兵庫県と鳥取県の県境に位置する兵庫県最高峰の山です。このあたりは中国山地の東の端にあたり1000メートル超の兵庫県の名山がいくつかあってほとんど未踏破なのでこれから順次やっつけていきたいと思っています(三室山(1358m)、後山(1345m)など)。ちなみに鳥取県の最高峰は大山(1709m)です。
氷ノ山、那岐(なぎ)山、後(うしろ)山一帯は国定公園に指定されています。
氷ノ山にはいろいろなコースがありますが、今回は「ぶん回し」というハイカーの間では割と有名なロングコースを歩きます。
(養父(やぶ)市の観光サイトより)
下図が詳細ルートです。上の公式サイトでは右回りになっていますが、私は左回りに歩きました。氷ノ山山頂を先にやっつけるか後にやっつけるかの違いです。私の場合、ちょうど12時に山頂に到着したのでランチを山頂で食べれてよかったです。
歩行距離約17km、6時間40分、累積標高約1100mでした。
小代越えで尾根に取り付いてからが好天に恵まれて氷ノ山やスキー場全体が見渡せる最高に気持ちの良い尾根道でした。この尾根道だけもう一度歩きたいです。
一方で氷ノ山を越えて神大ヒュッテを含む南半分はあまり景色は楽しめません。
丹波篠山のセカンドハウスから5時40分に出発して舞鶴自動車道から北近畿自動車道を走って福定(ふくさだ)親水公園駐車場に着いたのが7時40分。丹波篠山からでも2時間かかるのですね。兵庫県は大きい。
福定親水公園にはキャンプ場などがあり、ここから西へ行くと氷ノ山越えで尾根に取り付いて氷ノ山に向かうことができます。
駐車場から少し歩くと氷ノ山山頂が見えます。素晴らしい天気です。
氷ノ山鉢伏口バス停そばにあった「いせみち」の標識。「因幡国(鳥取県)若桜から氷ノ山越え、福定を経て伊勢へ続く道」と書いてありますが、ここから伊勢へはどういうルートで行ったのでしょうか?
「日本の街道 歴史を巡る」を見ると、西側からは京、大坂、堺から向かうルートが一般的であったようです。氷ノ山付近の街道は現在の国道9号線の山陰道で京へ向かうか、佐用から姫路へ進む智頭(ちず)街道、出雲街道のルートがあったので、その場合は姫路から舟に乗って大阪か堺へ向かったのかなと思います。
いずれにせよ、それほどまでに伊勢参りへの熱意があったのですね。
大久保のハチ高原スキー場の100mのゲレンデを登ります。ゲレンデ登りは単調で意外にしんどいので嫌いです。
ハチ高原駐車場に出ると広大な景色が広がります。
高丸山登山口へはスキー場のロッジが並ぶ平原です。5月の早朝なのでほとんど人を見かけません。ホテルやロッジはこの季節、学校や企業の教育研修などの用途に使われているようです。
氷ノ山と反対方向を見ると鉢伏山(1221m)が見えます。ハチ高原駐車場からさらに大回りして鉢伏山を回ることもできますが、さらに1時間半ほど時間がかかります。「ぶん回しEX」といったところでしょうか。
尾根に取り付いてスキー場のロッジを見下ろす。
左奥に氷ノ山山頂が見えます。もう標高差は500mを切っています。
こちらは氷ノ山国際スキー場のロッジ群。
とにかく素晴らしい天気と景色に恵まれて、この上なく気持ちの良い標高1000mの尾根歩きです。iPhoneでダイアナ・クラールをかけて歩きました。iPhone 14 Proはスピーカーの音質も相当上がっていて驚きです。
ジャジーな気分の尾根歩きが終わり大平頭(1171m)までの150mの急坂を登り切ります。なかなかキツかった。
大平頭避難小屋。
氷ノ山が近づいてきました。
布滝頭付近にはブナの木がたくさんあります。このあたりは西日本唯一の亜寒帯性気候になっているそうで、ブナの木が多かったり東北登山に通じるものがあります。
布滝頭(1264m)。
後ろを振り返り鉢伏山方面。
転落危険箇所。先週の大峯奥駈道と比べれば大したことはありません。
氷ノ山越えの避難小屋です。スタート地点の福定親水公園駐車場からここに接続する最短コースもあります。不動滝、布滝などが楽しめるコースのようです。
山頂の小屋がはっきり見えます。あと標高差200mほど。
仙谷分岐。南西の若桜(さ)方面へ向かうルートと合流しますが、このルートは現在崩落で閉鎖されています。最初に見た「いせみち」はこのルートのことです。
頂上9合目手前の岩場。巻き道があるので大峯奥駈道みたいにクサリで這い上がるようなことはしなくてもOK。左奥に見えるのが「こしき岩」と名のついた巨大な岩塊。間違ってこしき岩アタックルートに行ってしまって引き返す。
転がった丸太の陰にひっそりと咲いていたのがショウジョウバカマ。今年最後の見納めでしょう。
9合目からがキツかったけれど、ようやく頂上に到着。ちょうどお昼12時です。登山開始から4時間20分かかりました。
避難小屋の中はとてもきれいに使われています。
これは日本海側の景色。扇ノ山(1310m)も見えているんだろうな。どれかはわかりませんが。
こちらは南側の景色。小屋があるのは宍粟(しそう)市へ向かうルートです。3.5㎞ほど先の登山口で2021年の年末に遭難事故がありました。最大級の大雪警報が出ている時に軽装の4人が車で林道につっこんでいったらしい。
悪環境の中シェルターのなかで過ごすのを快感に感じるのは人間の本能なのでしょうか。降りしきる雪の山小屋のペチカの前で燃え上がる愛、なんて映画でよくあるシーンですが。
山頂は広々としています。カップヌードリフィルを食べる。カップヌードルリフィルは登山食には大変便利なのですが、賞味期限が6カ月しかありません。まだ7個もあるのでドンドン登山をしなければ。
下山しはじめて20分ぐらいで神大ヒュッテに到着。氷ノ山山頂から南側のルートはあまり景色もなく、ここもウッドデッキがあっていい感じですが、あまり長居するような所ではなさそうです。
一ノ谷の水場。湧き水ではないので生で飲むのに若干不安が。鹿はいなさそうですが。
一ノ谷休憩所のあたりはトウダンツツジの群生地になっています。ツツジは今が季節ですが、標高が高いのでまだ蕾が堅い。
東尾根避難小屋へ向かう道のブナ林。
東尾根避難小屋。標高1000mです。避難小屋がとても多いのはそれだけ吹雪などに見まわれることが多いのでしょう。
東尾根避難小屋からの100mは急坂です。右回りのぶん回しはここが一番キツイ箇所かもしれません。
東尾根の登山口に下りてきました。標高788m。
東尾根登山口そばにある逆水(さかみず)自然公園。見えているのは炊事場できれいに並んでいる蛇口をひねると水が出ます。こういう公共設備が普通に使えるのが日本が大変素晴らしいところだと思います。
トイレも大変きれいです。
氷ノ山国際スキー場のロッジ。コーヒーでも飲もうかなと思ったけれど開店休業っぽかった。東尾根登山口から30分ほど歩いて14時半に福定親水公園駐車場に到着、待っていたスイフト号に乗って丹波篠山のセカンドハウスに帰宅しました。
「ぶん回し」は苦行の旅かなと思っていましたが、全くの正反対で最高に気持ちの良いハイキングでした。
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