2022年4月20日水曜日

長老ヶ岳【イワカガミ】

 (長老ヶ岳のイワカガミ)



今日は京丹波にある長老ヶ岳(917m)に登ることにします。イワカガミの群生で知られています。丹波篠山のセカンドハウスから車で一時間弱の場所にあります。


登山ルートですが、仏主(ほどす)バス停の川向いにある駐車場に車を停めて反時計回りに周回します。

登りは森林公園管理棟までが舗装道路になっています。そのまま林道を進むと違った方向へ行ってしまうので要注意です。

森林公園管理棟から頂上までの尾根道はさまざまな植生が豊富で気持ちの良いルートです。イワカガミも見ることができます。

頂上は展望が良く、特に北方向の山々が見渡せます。もっと天気が良ければ日本海も見れるでしょう。

一方、長老ヶ岳頂上からの下りはすぐに舗装道路になってしまいます。つづら折りの舗装道路は面白くありません😞。早く帰りたいのでなければ、登りをピストンのほうが良いでしょう。

途中に珍しいカツラの巨木を見ることができます。

累積標高860m、距離約13km、4時間(休憩30分)の山行でした。


杉の植林など商業目的に利用されず、自然の植生が保護されているのは、京都府が「森の京都」として京都丹波高原として国定公園になっているからです。京都大学が管理している芦生の森や、頭巾山(とうきんやま)など、まだ行っていない場所もあり、是非行ってみたいです。

(京都府サイトより)


さて、コースの写真の掲載です。

今回の計画で少し悩んだのが駐車場の場所です。仏主バス停の前の川の小さい橋を渡ったところに割と最近建てられたと見られる公衆トイレがあり、その横に駐車スペースがあります。駐車場と明示していないのですが、3,4台ほど停められます。

さらに舗装道路がしばらく続き、森林公園管理棟にも駐車場がありますが、道が細いので離合が発生するとやっかいです。まあ、ここに停めておいて正解でした。



ここが、周回ルートの回帰地点です。ここにも2,3台車を停める場所があります。
この建物の右側の舗装道路をつづら折りに登って行きます。



森林公園管理棟から先に林道を建設中なので、たまに車が通ります。森林公園に車を呼び寄せるつもりなのでしょうか。自然好きな私には矛盾しているように思えます。



今回のルートで、そこらじゅうに咲いていたのがスミレです。舗装道路の切り通しの斜面にも健気に咲いています。



森林公園管理棟までの長い舗装道路。車で行くと離合でパニックになりそう。



途中の斜面に見なれない花が咲いています。



調べてみるとイカリソウという種類でした。花の形が和船のイカリ(十字型)に似ているから花の名が付いたそうです。この白くて長いのがイカの足のようでもありますが、これは「距」(きょ)といい、この先に蜜をつけて昆虫を呼び寄せて花粉を付けさせるそうです。

このイカリソウ、ルート上、他の場所では見つけることができませんでした。



スミレの花の回廊です。



途中で仏主(ほどす)の集落を見下ろす場所があります。とても美しい集落です。



ここを右に曲がると森林公園管理棟と駐車場があります。この道を何も考えずにまっすぐ行くと舗装道路が林道に変わります。登りの林道と、山をまいていく林道の二本がありますが、どっちに行っても長老ヶ岳の頂上へは行きません❗

筆者は、それら二本の道を行ってしまい、両方とも間違いであることに気づき、登山ルートに無理やり斜面を登りました。


八重桜。管理棟の周りにだけ植えてあります。



林道から無理やり斜面を登ってようやく辿り着いた正しい登山道です。ストックと木の根や幹にしがみつきながら30mほど登ったでしょうか。全ルートでここが一番体力を(無駄に)消耗しました。

このブログを見た方には是非、管理棟から正しい登山道を見つけてもらいたいです。


途中で休憩の小屋が出てきます。ここから先が一番美しいルートです。



アセビ(馬酔木)の花。



イワカガミ。今日(4月20日)の時点ではまだつぼみのイワカガミが多かった中で、これが唯一咲いているイワカガミでした。



先日、鎌ヶ岳で見かけたショウジョウバカマとイワウチワ。よく似ているようで並べてみると違いははっきりしています。



頂上500m手前あたりから再び林道に変わります。ジムニーなら行けるかな。


コミヤカタバミ。三つ葉のクローバーの一種です。


かなり大規模な電波塔に出てきます。頂上まで200mほど。


残り標高50mは土の道でヨカッタ。


いよいよ頂上へ到着です。山登りは、この瞬間がいつも最高ですね。


頂上の様子です。


北の方向が大きく開けていてとても良い眺望です。大江山(832m)が見えます。さらに天気がよければ日本海も見えることでしょう。


真北の方角には若狭富士の別名で知られる青葉山も見えます。


南東方角には川谷の集落が見下ろせます。


ランチは穴子の押し寿司をいただきました。



下山ルートは登りと違って自然な道から始まります。


ちょっとした岩場もありテープもほとんどないので、なかなか面白い道かなと思っていたら。。。


なんと下り始めて30分ほどで、舗装道路に出てきました。ここから最後までずっと舗装道路です。なんで舗装してしまうわけ?!


コブシの花。


途中にキャンプ場があります。トイレもあるのでみんなで来ると楽しいでしょう。


舗装道路のつづら折りが続きます。これがかったるくて面白くありません。斜面を下ってショートカットしたい誘惑にかられますが、それにしては角度が急すぎて帰って大変です。

行きのルートをそのまま引き返した方が良かったかな、と後悔。


かったるい下りのルートで唯一よかったのは、沢沿いにあったカツラの巨木です。



カツラ自体を見ることが珍しいのですが、これだけ立派な木は滅多に出会えません。葉っぱの形がハート型なのが特徴です。さすが国定公園なだけあります。


ミヤマキケマン。毒があります。


ミツマタ。和紙の原料。


一輪しかありませんが、ニリンソウ。鎌ヶ岳でも見かけました。

四月の山は虫もおらず、花がきれいで最高でした。舗装道路が多すぎたのが減点でしたが。



2022年4月16日土曜日

小塩山のカタクリ(金蔵寺ルート)

 昨年訪れた小塩山のカタクリの花がきれいだったので、今年も行ってみることにします。

昨年のルートは老ノ坂から大枝山、大暑山を越えて小塩山に登るルートでしたが、今年は南側の金蔵寺から登るルートを行ってみます。

このルートは大原野神社の駐車場に車を停め、初めに川沿いにある落ち着いた集落をのんびり歩いたあと金蔵寺にお参りして、見晴らし台で東山36峰の全容を眺めたあと、環境保全された気持ちの良い森の中を登ります。

小塩山頂上にある淳和天皇陵をお参りしたら、カタクリの群生地でカタクリ三昧を楽しみ、最短距離で大原野神社に戻ります。

全体を通して累積標高700m、距離5キロ、ゆっくり歩いて5時間のコースでした。


大原野神社の駐車場は広くなり自動式に変わっていました。

そこからすぐにある花の寺で有名な正法寺に行きます。藤が咲いています。



去年も見ましたが、八重桜と二重の塔のコンビネーション。去年より一週間遅めなので去年より満開です。八重桜はソメイヨシノよりも1~2週間開花時期が遅い。



ツルニチソウ。


シャガ。



民家に咲いていた鮮やかな紅い花はトキワマンサク。枝先に花が咲くのが特徴で、樹木全体が花で覆われているように見えます。



石作町の集落。立派な家も多く、川沿いの落ち着いた町並みです。



川底に野草の群生が。コンクリートの川底なのによくここまで大きく育ちました。水がきれいなのでしょう。



金蔵寺へ向かいます。



この密集している白い花はイベリス。スペイン原産の花だそうですが、自生しています。先ほど川底にあった花もおそらくイベリスかと思われます。



ここから金蔵寺への登山道。金蔵寺へのつづら折りの車道を直線で突っ切るように登って行きます。



気持ちの良い自然歩道。


途中、御堂がありますが、その横にひっそりと美少年の墓が佇んでいます。



調べてみると、桂海という名の比叡山の律師(僧のこと)が、三井寺の稚児、梅若丸と同性愛関係になったが、比叡山と三井寺がライバル関係にあったため、愛はかなわず、律師は東山に籠り、梅若丸は入水自殺を遂げたという。

悲劇の美少年、梅若丸の名は謡曲の主人公となりましたが、こちらのストーリーは、京都北白川の稚児、梅若丸が人買い商人にさらわれて東国に売られ、墨田川で亡くなったという悲しいお話。

中世当時、僧侶と稚児の間の禁断の恋を描いた「稚児物語」といわれる小説ジャンルが流行していたそうです。

ヨーロッパでもカトリック神父が少年に性行為をしたかどで大きな社会問題になっていましたが、中世においては愛の一つの形として受け入れられていたのでしょうか。


(東京都墨田区の木母寺ホームページより)


ここから金蔵寺へ登って行きます。「愛宕大権現」と書いてあるのは、明治時代の廃仏毀釈の際、愛宕山で廃棄されそうになっていた権現さまの勝軍地蔵(しょうぐんじぞう)を金蔵寺に移したことを示しています。



金蔵寺に続くイロハモミジのトンネル。紅葉シーズンは人気のようですが、新緑のイロハモミジも紅葉に負けず劣らず美しいと思う。



金蔵寺の石垣。




仁王門。



境内のしだれ桜。まだ花が残っています。このあたりは自然環境保全地域になっているので、さまざまな広葉樹が借景となっています。



鐘をつく奥さん。



本堂。応仁の乱の際に焼失したのを江戸時代の5代将軍綱吉の母、桂晶院が再建したのが今のお堂です。



境内から歩いてすぐのところにある見晴らし台。ここはハズせない場所です。



京都洛中を抱く比叡山と東山三十六峰が一望に見渡せます。ちなみに金蔵寺も比叡山延暦寺と同じ天台宗。



本堂からさらに少し登ると、愛宕大権現である勝軍地蔵が祀られている本殿があります。



勝軍地蔵は、神仏習合の際にイザナミが地蔵になったものですが、廃仏毀釈で勝軍地蔵が愛宕山から金蔵寺に移されると、愛宕山は、火の神カグツチを主神として祀るようになりました。

ちなみに、カヅツチは、イザナミが産んだ神ですが出産の際に大火傷を負ってイザナミは死んでしまいます。

なんだか、もう訳が分かりません。



金蔵寺をお参りした後はいよいよ小塩山頂上へ向かいます。



鮮やかな色のミツバツツジ。三枚の葉っぱが出ているのが特徴です。



小塩山頂上は、淳和天皇陵も兼ねています。淳和天皇は平安京遷都を行った桓武天皇から3代目の天皇で、十年程の在位の後、亡くなると遺言に従ってこの大原野の地に散骨されました。



天皇陵の脇に遠慮がちにある頂上の標識。642mなのでポンポン山(679m)より少し低い。



小塩山頂上からの道にカタクリの群生地区が3カ所あります。淳和天皇陵に一番近い場所が「御陵の谷」、NTT電波塔そばの「Nの谷」、炭焼き場跡のある「炭の谷」です。

それぞれ谷を下って行ったところにカタクリが咲いているので、3カ所全部周るとしんどいので、今回は、御陵の谷とNの谷の二か所に行きましたが、Nの谷のほうが多く群生していました。

カタクリは温度が上がると花を咲かせるのですが、今日は快晴ではなく風も吹いていたので、昨年ほどには咲いていませんでした。



本日のカタクリはほとんどが花を閉じて休憩モードでした。今の季節は毎日開閉を繰り返します。



一年に2カ月しか光合成をせず、8年かけてコツコツ貯めた養分で花を咲かせます。でもいったん成長すると40~50年生きるそうなので人間なみです。



8割がたが休憩モードでしたが、開花しているカタクリもいます。みんな下を向いているので写真を撮るのが難しい。



花咲かせようかどうしようか考え中💦



こちらは反り返るほど開花している陽気なカタクリ。




カタクリを楽しんだ後は下山します。大原野神社の駐車場へ向けての最短コースですが、雨水の水路と登山道が兼用なので、少し滑りやすく注意深く下って行きます。


沢が出てきたらほぼ下山終了。





登山道出口に出てきました。


広い棚田に出てきます。



先日も、ハナミズキ、コブシ、ハクモクレンの違いで悩みましたが、これは花びらが4枚なのでハナミズキ。 花びらの先に小さいアクセントがあります。



民家の石垣に群生しているシバザクラ。花が桜に似ています。



大原野神社駐車場前のお茶屋さんに咲いていたモクレン。



今日のしめくくりに草餅セットをいただきました。