2週間前に八ヶ岳に登ったばかりですが、今回は北アルプスの立山に登りに行きます。筆者は北アルプスは遠い、キツイ、混んでいるの3拍子で敬遠気味で上高地から涸沢まで登っただけですが、今回の立山は標高2400mまで山荘まで公共交通機関で到達できて、山荘から立山を代表する雄山まで往復5時間ほどで行けるということなので、奥さんと二人で行くことにしました。
敦賀駅から去年2024年3月に開通したばかりの北陸新幹線に今回初めて乗ります。敦賀から金沢を通過して1時間くらいで富山で下車、そこから富山地方鉄道(略称「富山地鉄」)に乗り換えて、また1時間くらいで立山駅に着きます。
写真は富山地鉄の富山駅のプラットフォーム。「岩峅寺」は「いわくらじ」と読みます。
立山駅に行く途中、常願寺川にかかる芳見橋(よしみばし)。富山地鉄は常願寺川沿いを高度を上げて走って行きます。
富山地鉄を下車したら今度は立山駅のケーブルカーに乗車します。乗車時間7分で標高差500mを登って、標高約977mの美女平駅で下車します。
ケーブルカーが開通したのは昭和29年で、昭和46年に立山有料道路が開通するまではこのケーブルカーだけが美女平への輸送手段でした。
美女平駅(977m)から今度は立山高原バスに乗って約1時間、室堂(2450m)へ向かいます。この道路は路線バス以外は観光バスは許可されていますが、一般車は通行できません。
バス路線の途中から見える称名滝(しょうみょうだき)。落差350mで日本一だそう。日本一の滝にしては初めて聞く名前だなと思いましたが、同じ落差で複数段と一段があって、一段の滝ではやはり那智の滝に軍配があがる。ちなみに那智の滝は133mで日本2位。日本一の140m一段落差の滝は択捉島にあるそうな。残念ながら簡単には見に行けません。

どういう地形を走ってきたのかGoogle Earthで調べてみるとこんな感じです。
美女平駅にあった美女杉。立山を開山したとされる奈良時代の佐伯有頼の美しい許嫁から由来していると書いてあります。
美女平駅(977m)から今度は立山高原バスに乗って約1時間、室堂(2450m)へ向かいます。この道路は路線バス以外は観光バスは許可されていますが、一般車は通行できません。
バス路線の途中から見える称名滝(しょうみょうだき)。落差350mで日本一だそう。日本一の滝にしては初めて聞く名前だなと思いましたが、同じ落差で複数段と一段があって、一段の滝ではやはり那智の滝に軍配があがる。ちなみに那智の滝は133mで日本2位。日本一の140m一段落差の滝は択捉島にあるそうな。残念ながら簡単には見に行けません。

どういう地形を走ってきたのかGoogle Earthで調べてみるとこんな感じです。
このルートは立山黒部アルペンルートの一部で、室堂からさらに黒部ダム、そして長野駅までつながっています。
特に黒部ダムから長野県に入る2678mの赤沢岳をぶち抜いて掘った全長5.4キロメートルのトンネルは関電トンネル(旧大町トンネル)と言われ、その難工事の様子はプロジェクトXで放映されていました。
プロジェクトXでは大町トンネルが完成するのを待っていられないので、人力で資材を北アルプスの山道を通って運んだ命がけの様子が非常に印象的でした。
室堂に着くと驚いたことにまだ一面雪で覆われています。8割くらいは雪じゃないでしょうか。2週間前に八ヶ岳に登った時は雪はほとんど見かけなかったのですが、やはり日本海に近いからなのでしょうね。
室堂は白山にもありましたが、修験者のベース地といった意味だそうです。
我々の宿泊地は室堂山荘でターミナルから少し歩いたところです。室堂にはテント場がなく、テント泊の人は北に500mほど行った雷鳥沢キャンプ場を使います。
お風呂に入って少し天気が良くなったので午後4時から周辺を散策しにいきます。
室堂山荘全景。後ろに見えるのは龍王岳(2872m)。
我々の宿泊地は室堂山荘でターミナルから少し歩いたところです。室堂にはテント場がなく、テント泊の人は北に500mほど行った雷鳥沢キャンプ場を使います。
個室は広くて幸いなことに角部屋でした。電源コンセントもあります。ゴミ箱もあります。湯沸かしポットがあればなお良かったなぁ。
室堂山荘はお風呂もあって小さな山小屋風のお風呂を想像していましたが、広くて立派な温泉旅館のようなお風呂だったのでびっくりしました。トイレも水洗です。
電力や電波は地下ケーブルを引いているようですが、トイレの処理はどうしているのかわかりませんでした。
お風呂に入って少し天気が良くなったので午後4時から周辺を散策しにいきます。
室堂山荘全景。後ろに見えるのは龍王岳(2872m)。
みどりが池。まだかなり凍っています。気温はそんなに寒くはありません。歩き始めて見ると空気の薄さを感じてとてもしんどい。2週間前の八ヶ岳の時は、いったん高度1850mの唐沢鉱泉旅館で一泊した時に高度順応できたのですが、ここには自宅から約6時間で来てしまったので高度順応してるヒマなし。
今回ひんぱんに見たのが初夏の花、チングルマ。よく似ている花にハクサンイチゲというのがあります。
これは八ヶ岳でよく見かけたイワカガミ。
室堂で最も大きな池、みくりが池。さきほどのみどりが池よりも少し低い位置にある。火山の水蒸気爆発の穴に水が貯まってできた池なので水深15メートルもある。修験道では立山の神である立山権現に捧げられた水という位置づけの「御厨」から由来している。
立山権現は大峰山で言うところの蔵王権現ですね。

みくりが池の縁のセルリアンブルーが神秘的で美しい。
奥に見えているのが日本最高峰の温泉宿である「みくりが池温泉」。さらに向こうにある地獄谷から吹き出す硫化水素を含んだ高温水蒸気を冷やして使う源泉かけ流しの温泉だそう。
奥さんが立っているのがみくりが池展望台。
6時になったのでお楽しみの食事の時間。何と生ビールのサーバーまである。一杯800円ですが、やはりジョッキの飲むのは格別なので2杯飲んでしまいました。気のせいか気圧が低いとアルコールが回るのが早い。
左のギザギザが剱岳で古来から行ってはいけない地獄の世界とされていた。中央の3連山が右から雄山、大汝山、富士ノ折立でこちらは剱岳とは対照的に阿弥陀如来一行が救済に来ています。雄山に登れば罪は赦されるとされています。
(佐伯氏所有の立山曼荼羅)
このブログを書いている途中に映画「劔岳 点の記」を観ました。明治の終わりに日本地図で唯一測量されていない劔岳に陸軍測量部が香川照之演じる長次郎に案内されて登る話です。劔岳と立山の映像がとてもきれいでした。
夜7時となりみくりが池の向こうに陽が沈んでいきます。
翌朝5時に起きたときの風景。右手に劔岳が別山の稜線から少しだけ見えています。一晩寝ると高度順応できたようで、昨日のようにハーハー言わなくなりました。

登山ルートですが、室堂山荘を出発して雄山を踏んで帰りのバスの室堂ターミナルまで歩いて5時間20分、距離5.7キロ、累積標高620mでした。雄山はガレ場はありますが、手をつかわなければいけない箇所はなく、初心者でも登れるくらいよく整備されたルートでした。一ノ越あたりで北アルプスの槍ヶ岳などの山々が見え、さらに頂上からは劔岳や眼下に黒部ダムも見ることができます。
雄山から20分で大汝山、さらに15分で富士ノ折立に行けますが、奥さんの体力を考えて雄山から引き返すことにしました。
朝食は6時半からで7時前から登山開始です。室堂山荘のすぐ横にあるのが、室堂山荘ができる前にあった山小屋で、現存する日本最古の山小屋だそうです。そもそも室堂とはこの山小屋のことを言ったのです。

室堂の山小屋からいよいよスタート。ずっと先に見えているのが一ノ越山荘です。スタート地点から約1時間かかります。
気温が高くみぞれ状の雪なのでツルツル滑ることはないのですが、注意深く歩きます。
ミヤマダイコンソウ。これも高山植物。ダイコンとは関係のないバラ科の草花。
標高2700mの一ノ越は雄山(3003m)と龍王岳(2870m)の鞍部になっています。龍王岳には約50分の登山ですが、途中に浄土山(2821m)があるので立ち寄っても1時間10分。
朝食は6時半からで7時前から登山開始です。室堂山荘のすぐ横にあるのが、室堂山荘ができる前にあった山小屋で、現存する日本最古の山小屋だそうです。そもそも室堂とはこの山小屋のことを言ったのです。
非常にしっかりした木造建築で、よく見ると木組み工法で造られています。宮大工の技のようです。

室堂の山小屋からいよいよスタート。ずっと先に見えているのが一ノ越山荘です。スタート地点から約1時間かかります。
気温が高くみぞれ状の雪なのでツルツル滑ることはないのですが、注意深く歩きます。
ベニバナイチゴ。筆者が育てたイチゴとは花はずいぶん違いますが葉っぱはよく似ています。
ミヤマダイコンソウ。これも高山植物。ダイコンとは関係のないバラ科の草花。
登山開始後約1時間で一ノ越山荘に到着しました。
一ノ越から南南東方向には北アルプスの山々が一望できます。太平洋の方向を見ているので左手に南アルプス、そして富士山がいるはずですが、雲のせいでそこまでは見えません。
槍ヶ岳(3180m)のクローズアップ。左手前が野口五郎岳(2924m)。
遠くだけどはっきりと見えているのは笠ヶ岳(2898m)。
一ノ越から雄山の頂上がはっきりと見えています。あと300m登ればいいだけ。
一ノ越で15分ほど休憩して登り始めます。ここからの道はもう雪はありません。
ガレ場の道は2018年にネパールのシェルパを招いて整備をしたので歩きやすくなっています。手を使わなければ登れない箇所はありません。
また登りと下りが別ルートに分かれていて登りは赤色マーク、下りは黄色マークに明確に記されています。これは落石防止にも効果があると思います。
チングルマ。

北方向に劔岳の山頂が見えてきました。この後雲のせいで山頂が見れたのはここだけです。

イワツメクサ。
岩肌にはイワカガミ、チングルマ、ミヤマダイコンソウの競演。
一見ガレ場で大変そうですが、きちんと道が通っています。2週間前の西天狗岳の100mの岩のよじ登りと比べれば天国。
ツガザクラ。ツツジ科の高山植物。
西南西の方角には白山、荒島岳、伊吹山が見えるはずですが、雲がかっています。

記念写真。
頂上からはあいにく雲がかかっていて峰々は見えませんでした。

東方向の眼下を見ると黒部湖が見えます。黒部湖の北(写真の中央部)をよく見ると黒部ダムが見えます。
上の写真の拡大図。黒部ダムの東半分がよく見えます。171名の殉職者を出して昭和38年に完成。最初から死者が出るだろうことがわかっていて工事を始めるというのも今ではありえないこと。
おとなりの大汝山の頂上まで20分でいけるそうですが、奥さんが大変そうなので雄山で引き返すことにします。ちなみに大汝山の先の富士ノ折立へはさらに15分で行けるようです。
山頂社殿で巫女さんが大きなヤカンでコーヒーを入れてくれました。これを飲んで下山します。
下山ルートは黄色いマークを目印に下りていきます。中央から少し右上にみくりが池が小さく見えています。
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