(妙見山頂上にある日蓮宗の礼拝堂「星嶺」)
今回は大阪府能勢郡にある妙見山(みょうけんざん)に登ります。実際は大阪と兵庫の県境になっています。
大阪府の地図を詳しく見ると大阪府能勢郡は、京都府と兵庫県の境にくさびを打ち込むように入り込んでいます。ついでに見ると高槻市もかなり北に伸びていて京都と領地争いをしているようです。
「能勢の妙見さん」と言えば関西で有名な開運のお寺です。お寺のある山は660mの低山ですが、低山では珍しいブナ科の林があり自然環境保全地域に指定されている美しい山です。
妙見山の登山コースは色々あって迷うのですが、今回は登りを「大阪みどりの森100選」に選ばれた初谷渓谷コース、下りは大阪湾の展望が楽しめるという上杉尾根コースを選びました。こちらが登山コースです。能勢電鉄妙見口駅そばの駐車場に車を停めて、初谷渓谷コースを進みます。美しい沢沿いの気持ちの良い道が続きます。ほぼ平坦な道が続きますが、初谷出会い手前の沢合流地点から急な登りになります。といっても激しい登りではありません。
下りの上杉尾根コースは自然環境保護地域に指定されているだけあってブナ科の常緑樹の多い植生豊かな緑の尾根道です。八丁茶屋跡手前には南西に開けた展望が楽しめます。
累積標高570m、距離12km、途中沢遊びなどしてゆっくり歩いて5時間50分(うち休憩1時間20分!)でした。
写真は能勢電鉄の妙見口駅です。今日は3人のパーティで電車ではなく車に乗せてもらって来ました。新名神の「とどろみIC」からすぐです。駅のすぐそばに有料の「かめたに駐車場」があります。
初谷渓谷コースは「大阪みどりの森100選」に選ばれているだけあって、きれいな渓流が楽しめます。地元の人によると、ここには何故か山の水場につきもののヤマビルがいないそうです。
ヤマビルには遭遇しませんでしたが、見たこともない巨大なイモムシが。調べてみるとオオミズアオの終齢幼虫のようです。イモムシというのは何度も脱皮して成長しますが、これは最終段階。
沢が同流する地点まで来ると、平坦だった道が登りに変わります。でも急登というほどでもありません。
初谷分岐から頂上まではS字型カーブを描く車道を突っ切りながら頂上へ向かいます。
大正5年5月建立と彫られたコンクリートの大鳥居。鳥居の上には「妙見大菩薩」と書かれています。妙見とは中国で生まれた北極星(北辰)信仰で、これが仏教と習合して妙見菩薩になりました。
中国では2000年も前から南洋やペルシアと交易していたので、航海の目印として北極星は非常に重要だったのだろうと思われます。一方で日本は江戸時代でも外洋航海の技術はほとんどなかった。
頂上はお寺の境内になっていて、登山で頂上に来たという感じがしません。
妙見山を開山した日乾上人(にちけんしょうにん)。地元の守護神を妙見大菩薩に融合し、日蓮宗に組み込んだ。
階段を登り切ったところにある慰霊塔。日清、日露戦争の英霊を祀っているようです。塔になっているのは陸軍の大砲です。
頂上の三角点は慰霊塔の裏にひっそりと刺さっています。看板がなければわからない💦
これが信徒会館「星嶺」。礼拝行事などが行われるそうです。妙見が北極星の神なので上から見ると星型になっています。奇抜で未来的で、一般的な仏教とは似ても似つかない造形です。全面ガラス張りなので中をのぞくと、床にバケツがいっぱい置かれていました。どうやら雨漏りがするらしい。こんな形をしていると補修も大変そう。
こちらでランチに加えてデザートにみつ豆をいただきました。
調べてみるとこの紋章は切竹矢筈十字(きりたけやはずじゅうじ)という名前で、この地域の領主であった能勢氏の家紋でした。矢筈とは矢を弓に引っかける部分で十字の端に切れ込みが入っているところです。
さて登り始めてすでに4時間、下山開始です。大阪湾の展望が楽しめるという上杉尾根コースは頂上の広大な駐車場を突っ切るところから始まります。
展望は南西方向に開けており、眼下には川西市、右手には宝塚、西宮までが見えます。わが母校の関学の甲山がよく見えました。
能勢妙見堂(とポーズしているN氏)。関西日蓮宗の重要拠点だけあり立派な木造建築です。気になったのが、紫の寺院幕に描かれた十字の紋章。仏教寺院ではまず見かけません。
調べてみるとこの紋章は切竹矢筈十字(きりたけやはずじゅうじ)という名前で、この地域の領主であった能勢氏の家紋でした。矢筈とは矢を弓に引っかける部分で十字の端に切れ込みが入っているところです。
細川ガラシャで知られるように茨木、高槻にはキリシタン大名が多く、当時の能勢氏の家長である能勢順次(よりつぐ)もキリスト教を信仰していましたが、キリシタン禁止令が出ると同時に日蓮宗に改宗しました。このため地元では「能勢のいやいや法華」と言われたそうです。
妙見の北極星をかたどったようでいて、実はキリスト教の十字架のようでもあるこの家紋を見ると、隠れキリシタン的な要素も感じてしまいます。
この能勢氏の家紋は、能勢電鉄の社章でもあったので、能勢電鉄の社員は背広の襟には社員バッジをつけていたことでしょう。
(旧社章とともに古い車両が引退-能勢電鉄HPより)
さて登り始めてすでに4時間、下山開始です。大阪湾の展望が楽しめるという上杉尾根コースは頂上の広大な駐車場を突っ切るところから始まります。
尾根道なのでずっと景色が楽しめるかと思いきや樹林帯の中を歩きます。ですが、この樹林帯はスギだらけの里山と違い、自然のブナ科の樹々に覆われていて、とても良い植生です。
見分けるのが難しいブナ科ですが、コナラ、ミズナラ、クヌギなどが並んでいました。
ベンチが設置されている八丁茶屋跡からの景色。上杉尾根コースで景色が見れるのはココだけですが、宝塚、西宮方面がよく見えます。残念ながら少しガスっていて大阪湾まではよく見えませんでした。
下山は2時間弱でした。
帰りに見かけたひまわり畑。
帰りはスポーツクラブに併設されている銭湯「ひらの湯」でサッパリしてから新名神で帰りました。
写真は高槻JCTあたりで建設が続行中です。ちょうど先月(2022年7月)に大津で作業員が400キロの鉄骨に押しつぶされて死亡する事故が起きましたが、2016年の橋桁落下事故から何度も事故が続いています。
車で走っているとよくわかりませんが、新名神は山の中を空中で貫き通していくような道路で最新の土木技術の威力を感じます。それだけ難しいのでしょうが、正直、ここまでやって作らなければいけない道路なのかなとも思います。
これは去年の冬に茨木の竜王山に登った時に撮ったものですが、下から見ると飛行機が飛ぶような高度を車が走っているように見えます。
新名神の橋梁は高いものになると80メートルになるそうで25階建てビル相当です。
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