2018年10月28日日曜日

古座川の一枚岩

NHKスペシャルで観た日本列島誕生の番組を改めて本で読んで驚きました。東日本と西日本がそれぞれ別々にユーラシア大陸から引き裂かれて一つにくっついたという説です。


全部で四つの事件として日本列島誕生の驚くべき説が載っているのですが、その中の第三の事件「世界最大規模のカルデラ噴火」のなかに古座川の一枚岩がでていました。

フィリピン海プレートとユーラシア大陸の西日本の部分がぶつかり、下に潜り込んだフィリピン海プレートの熱でマグマが熱せられその亀裂から大地がズドンと落下してマグマが大量に噴出し、そのマグマが冷えて固まったものが古座川周辺の地形を作りだしたということです。


マグマが冷えて固まると花崗岩になり、花崗岩は比較的軽いためその浮力で盛り上がってきたそうです。その塊は神奈川県ほどの大きさがあるそうです。一枚岩もその巨大な岩のほんの一部なのです。


ということで古座川の一枚岩に行くことにしました。ネットを見ると、一枚岩に登った記事がいくつかあったので、自分も登ることにしました。

京都から、すさみ南まで高速がつながっているのですがそれでも4時間近くかかります。

すさみ南で降りてから串本方面に進み和深(わぶか)から39号線で北に進みます。朝8:30に出発しましたがすでに12時を過ぎているのでSAで買ったおにぎりを食べながら車を走らせますがカーブが多くときどき一車線になったりするので片手運転がやりにくい。

そうこうしているうちに天柱岩に到着。逆光でよく撮れません。


371号線沿いに走り、いよいよ一枚岩にやってきました。古座川沿いにあります。というか、巨大な岩を何万年もかけて古座川が浸食した跡が一枚岩なのですが。



登山口は絶壁の裏側にあるので車で行けるところまで行きます。トイレがあるので普通の人(?)でも登れるような場所のように思いましたがこれは間違いでした。


このあたりを「どんどろの森」というそうです。あまりよい響きの名前ではないです。そばに池があって古座川と一緒に自然を楽しむ場所のようです。


目的は一つ、一枚岩登山なので脇目もふらず登り始めます。


急な斜面があり、赤いテープを目安に進みますが台風のせいかテープが木ごとなぎ倒されていたりしてテープがない場所も多い。


ルートは川沿いにしばらく進んだ後一気に登坂し岩の屋根をぐるりと右回りに一周して戻るというものです。


屋根まで登ってしばらくいくとこんな場所が。ちょっとこわいけど行くしかない。岩は滑りにくいです。マグマからできた岩なので軽石みたいな感じ。


ここは止めておこうかとも思ったけれどゆっくり先端に進みます。


端までやってきました。下に道路と相瀬(あいせ)トンネルが見えます。


ルートだとこの地点です。見ればおわかりのように迷いながら歩いています。ほとんどiPhoneのGPSを片時も手放さずに歩いているのですが踏み跡もないので30秒歩いてはルートからずれているのがわかったりの繰り返しです。


少し休憩して、よっちゃんを食べます。こういう酸っぱいのも登山の時は美味しく感じるものです。気分は下山ですが、まだまだ大変でした。



途中で不気味な沼が。


まさかこんな巨大な岩の脇を登るとは予想してませんでしたが、赤テープがあるので仕方なく登ります。


再び古座川を見下ろす絶壁の横を歩きます。あとで下から眺めるとよくこんなところを歩いたなと感じますが今はとりあえずルートを辿ることだけでいっぱいです。


登坂地点にたどり着くまで、ほとんど赤テープもなく、GPSだけが頼りでした。iPhone XのGPSは本当に正確で1mの誤差もないくらいなので助かりましたが逆に言えばiPhoneがなかったら絶対に帰れません。すぐそばが断崖絶壁なのでiPhoneだけは絶対に落とすまいと必死でした。


なんとか登坂ルートを逆にたどって古座川まで降りてきた。


停まってあるプリウスを見てほっと胸を撫でおろす。


一枚岩の道の駅にあった説明。一枚岩をはじめとするマグマが造ったカルデラの縁を古座川弧状岩脈というらしいです。


一枚岩を絶壁の下から眺めます。35ミリのレンズにまったく収まりません。


この絶壁の上を歩いたのだと思うとようやったなと思います。



これがルートを3Dの衛星写真にマップしたものです。こうしてみるとかなり絶壁の縁スレスレを歩いているのがわかります。繰り返しになりますが、もしもiPhoneを落としていたら終わってました。


GoogleMapストリートビューです。


スリリングな体験のあとの今日の宿は、ぼたん荘です。ぼたん岩のそばだからです。
食堂でのごはんなのですでに布団が敷いてありました。勝手に女中が入ってこないのがよいです。部屋も清潔だし窓際の椅子も座り心地よしです。

ただ、少しだけ残念なのはお風呂が銭湯も兼ねていて人が多いのと露天風呂がないことです。


この旅館、料理が素晴らしいです。これはカボチャのソースですがちょっとフレンチっぽい。味もよいですが、何よりも心がこもっているのが伝わります。


古座川でとれたモズクガニ。焼いた河原の石が風情を感じさせます。モズクガニの足はバリバリ食べてしまいました。


古座川の鮎。地産というのがいいですね。


鹿肉。


翌朝、もう少し近ければこの旅館はまた来てみたいと思いながら宿を後にし、旅館のすぐそばのぼたん岩に歩いていきます。

第一印象は「気持ち悪い」といったところ。アリの巣かハチの巣のようです。


これが拡大写真。露光をあげて牡丹の花が見えるようにしています。牡丹に見えなくはないですが、やっぱり気持ち悪い。このあたり一帯が巨大な岩の連なりなのですがこのように穴だらけになっている場所は部分的にしかなく、原因はわからないそうです。何万年も古座川が浸食していく際、このあたりの場所が特殊な水流になっていたからでしょうか。


よく見るとアントニオ・ガウディの彫刻のようにも見えます。



こちらは聖家族教会のファサード。似てなくもない、かな。


牡丹岩から少し車でいくと虫喰い岩があります。秋のコスモスが可愛く咲いていたので虫喰い岩を背景に。



こちらは竹とのコンビ。ガウディの茶室?



写真で見るとあらためて気持ち悪い。


途中で見かけた神社。巨岩と鳥居の対比が面白いので立ち寄ってみました。


巨岩を信仰する文化は京都にもありますが、この付近一帯は神様だらけということになりますね。


このあたりは海が近いので海岸にも立ち寄ってみました。
ぽっかりと浮かぶ島は、九龍島。「くろしま」と呼びます。無人島らしいです。九龍島の背景に見えるのが、紀伊大島。一度訪れたことがありましたが南国を感じさせる島です。明治時代に遭難したトルコの軍艦の乗組員達の世話をしたことでトルコと日本の友好が深まった話があります。


さて海を後にして、8キロほど北に向かって今回の最後の観光ポイントである滝の拝(たきのはい)に行きました。

橋の脇にある細い道をたどると社があり、それを抜けると河原(?)に出られます。


滝はいままで沢山見てきたので正直あまり期待はしていませんでしたが、ココは必見です。川の小石が数万年かけて削り取った結果ですがいままで見たことのないような景観です。本当はもっと近づきたいのですが石が滑りやすく滑落したら命がなさそうなのでここでストップ。


これは拡大画像。


これは橋の上からです。


拡大画像。


これは橋の反対側ですが、こちらはダイナミックな流れがないぶん、エメラルドグリーンの水が絶壁に映えていて美しい。


このあと再び串本にもどり、すさみ南から高速に乗って京都まで戻りました。

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