この歌は、子式部内侍(こしきぶのないし)作で、彼女の母親は歌人で有名な和泉式部。母親があまりに有名だったので、娘の歌は丹後にいる母が代わりに作って娘に送っているのだろうと疑われたところ、子式部内侍が、「生野、大江山を越えて行くのは遠く、天橋立には行っておりません」というのと、「文(手紙)を見ておりません」をひっかけて即興で歌を作ったので、子式部内侍の歌の才能を認めざるをえなかったという逸話が残っています。ちなみに生野は福知山市にある場所で、京都から見て大江山の手前にあります。
京都縦貫道路ができて随分便利になりましたが、それでも京都から大江山まで車で行くと2時間ほどかかりますから、歩くとなると大変です。
今回は、大江山の8合目にある鬼嶽稲荷神社に車を停めて、大江山に向かいます。
この案内図は稲荷神社にあったもの。図の上部左にあるのが、大江山で、そこから右へ、鳩ケ峰、そして鍋塚山まで行って引き返すルートです。
10月下旬は雲海が見ごろになるということです。写真を見るとなかなか幻想的。
これも鬼嶽稲荷神社にあった案内図。鍋塚山ではなく鍋塚になっています。
これは全体図。山から若狭湾は見れると思いますが、はたして天橋立は見れるかな?見れたらいいな、というところです。
稲荷神社から登山道につながっています。トイレもちゃんとあります。
最初の丸太の段々が、少ししんどいなと思ったら、フラットな道になります。千丈ケ嶽とありますが、本来大江山は、今回登る3つの山に加えて赤石ヶ岳を入れた四山の連峰で、その最高峰である千丈ケ嶽を通称大江山と呼んでいるのです。
千丈ケ嶽の頂上はかなり広く、屋根付きの休憩所もありました。南側はよく見通せたのですが、若狭湾は樹々が邪魔をしており、チラリとしか見えません。
あまり疲れてもいないので、少し休憩してすぐに次の鳩ケ峰に向かいます。
栗の実が落ちています。9月になったんだなぁと思わせます。
鳩ケ峰に行く道は岩場が多いです。今回はストックを持参して正解でした。
ストックは軽量カーボンを使ったカリマーの白です。グリップがコルクで握りやすく、ストッパーの扱いが簡単です。大江山では一本ストックで登山していた人が多かったです。
ストックはいったん出してしまうと、簡単とは言え、縮めてザックに収納するのが邪魔くさいので、ずっと持ったままになります。なので、ストックを出すタイミングが結構重要です。
しばらくすると鳩ケ峰に到着です。後ろを振り返るとさっきまでいた、千丈ケ嶽の頂上が欠けたようになっていてわかります。
少しだけ若狭湾に近づきました。
ナホトカ、とかソウルとか書いてあるのに意外性を感じますが、舞鶴港や境港にいくと、朝鮮半島が、「すぐお隣」という感覚であることに気がつきます。もちろんここからは見えませんが。
若狭湾へ流れ込む野田川を挟んで美しい田園風景が見えます。
千丈ケ嶽と違ってこちらははっきりと若狭湾が見えます。距離的にも近いので、千丈ケ嶽に行くなら、必ず鳩ケ峰には行くべきです。
しかしながら、やはり天橋立は見えません。
ここで、向こうに見える鍋塚山に行くべきかどうしようかと思いましたが、まだ歩き足りないのと、ひょっとしたら天橋立が見れるかも、という期待で行くことに決定。鍋塚山は、千丈ケ嶽と鳩ケ峰の距離の二倍くらいはあるのですが、ま、時間も早いし。
途中で駐車場がありました。トイレもあり。
丹後半島周辺の山々が案内されています。だいたい600メートル級です。
鍋塚山の頂上が見えてきました。
山頂はある程度の広さがあり、風も涼しく、とても気持ち良かったです。持参したお弁当と、バーナーで即席みそ汁をいただきました。マルコメの料亭の味がめちゃくちゃうまい。やはり体が塩分を欲しているのでしょう。
鳩ケ峰と比べて若狭湾がよりはっきり見えます。丹後半島から越前までが若狭湾なのですが、丹後半島から舞鶴までを特に宮津湾と呼び、宮津湾のなかでも天橋立で区分けされた内海を阿蘇海(あそかい)と呼びます。いま見えている部分が阿蘇海です。
拡大してみました。阿蘇海がはっきりわかりますが、残念ながら天橋立が見えません!ホントに惜しいです。
砂州に区切られた内海のことを潟湖(せきこ)と呼ぶそうです。英語ではラグーン。ラグーンというとなにかリゾートホテルみたいなゴージャスなイメージがあります。
鳩ケ峰から鍋塚山までと同じくらいの距離の山(無名山?)に航空管制塔の赤建物が見えます。
頂上付近にあった小さな黄色い花。オトギリソウかな?
帰りは鳩ケ峰からいったん下って千丈ケ嶽に登る階段が結構きつかったけれど、すんなりと元の稲荷神社に戻りました。
大江山は鬼伝説で有名で、あちこちにこういう鬼の人形があります。鬼伝説の中でも最も良く知られているのが酒呑童子の話で、平安時代に源頼光に退治されます。
しかしこういう天然パーマで、みっともないパンツをはいた、情けない鬼のイメージはどこから来たのでしょうね?金太郎にとってのショッカーの隊員のような存在。
途中にあったカフェ フローレスタ。本格的なログハウスです。
コーヒー一杯いただこうと思って中に入りましたが、あいにくお客さんが多くて時間がかかりそうだったので写真だけ撮って退散。
帰り道に、天岩戸神社に寄りました。道幅がせまくて駐車場はありません。ところどころすれ違いのための退避スペースがあったので、悪いとは知りながらそこに駐車。
道路から沢に下ったところに神社があります。
この天岩戸神社とこの付近の他の二つの神社を合わせて元伊勢三社と呼びます。これらは、伊勢神宮がいまの伊勢に着座する以前にあったという意味で元伊勢と呼びます。
宮崎県に旅行にいったときも天岩戸神社に行きましたが、そこに比べると、本当にちっちゃな無人の神社でした。ここから岩戸山が見えるので拝みます。
神社からさらに下って沢のあるレベルにまで行きます。
なにか独特の雰囲気があります。
社殿が巨大な岩盤の上にありました。この裏手に磐座(いわくら)があります。
社殿へは金鎖をつかって登ります。かろうじて立てる小さなスペースがありました。
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