2019年4月6日土曜日

霊仙山

霊仙山(りょうぜんさん)は、ちょうど関ヶ原から柏原宿、醒ヶ井宿と続く中山道を伊吹山とともに北と南で挟んでいる場所にあります。
 古来より不破の関(ふわのせき)と言われる自然の門を仁王のごとく見守っている二山の一つです。

 また霊仙山は鈴鹿山脈の一つでありますが、鈴鹿山脈の最高峰は少し南にある御池岳(1247m)で、ここは去年の6月に登っています


登山ルートですが、琵琶湖のある西側のちょうど醒ヶ井宿のあたりから細い道を登ったところに登山道があります。駐車できるスペースが非常に限られており、土曜日の朝7:30に到着したのですが、すでにスペースは一台分しか空いておらず、ギリギリでした。

霊仙山ですが、なんと、最高点(1094m)が頂上(1083m)ではないことになっており、いったん最高点に行ってから頂上で達成感を味わい、それから左上の避難小屋でランチにしてから同じルートで帰路につきました。


西側の登山口から見た3Dのルートです。


今回は、いつもの会社の山好きチームに、フレッシュな新入部員Yさんが参加しました。にぎやかなパーティになりそうです(N氏撮影)。

朝6時に山科駅で皆を拾って連れてきてくれたのは私の後ろのS氏です。感謝感謝。
ちなみにS氏は最新型のPRO TREK Smartを装着して登る気満々です。


朝5時過ぎ起床だったので、まだ眠気がありますが、歩き始めます。


しばらく杉林の合間を歩きます。


石垣の跡が目に付く。後で調べてみるとこの辺りは、以前、榑ケ畑(くれがはた)という集落があったそうです。以前は50戸もあった村ですが、大根などの農業や薪炭(しんたん)による生計が立たなくなってきたのもあり、1960年頃からだんだん人がいなくなってしまい、廃村になったそうです。

ちなみに、この「榑(くれ)」という字は初めて見ましたが、「皮のついたままの丸太」という意味で、杉林があるところから木材も生活の糧にしていたのでしょう。交易の相手は主に彦根だったそうです。いまのように道路が発達する前の時代なので近場であることが圧倒的なアドバンテージだったのですね。


山小屋「かなや」。榑ケ畑(くれがはた)について書かれた記事を読むと、ここに最後の住人がおられて、2005年当時で74歳なので、今は88歳。住んではおられないようですが、達者でいらっしゃるのでしょうか。


「かなや」の看板に、霊仙山の登山ルートが示されています。我々の出発点は右中のPのマークのある「榑ケ畑登山道」ですが、それ以外にもいくつかのルートがありそうです。「魔洞道口」という興味深々の場所を通る谷山谷登山道はバツ印がついているところから通行不可なのでしょう。


すぐに到着する二合目の汗ふき峠。榑ケ畑から来ました。山頂に行かずにまっすぐ落合の方向にも行けます。



先ほどの案内板によると落合、今畑を通って西側ルートで頂上にも行けるようです。


汗拭き峠を越えて前進します。


途中で景色が見えるポイントがありましたがガスってます。


途中休憩。このあたりから石がゴロゴロしています。なので、座る場所がない。


このキャベツのような花は、サクラソウでしょうか。園芸用に品種が開発されて黄色も多いようなので、どこかから種が運ばれてきたのかも。


向こうの山の斜面に雪のパッチが見えます。このあたりの道が泥のようになっていてすべりやすい。


雪を見ると急に気温が下がったような気分になる。実際に下がっているのでしょうが。


石灰質が墓石のようになっているものをカレンフェルトといいます。


御池岳もそうですが、巨大な石灰質の地形が風雨に浸食されたものをカルストと呼びますが、このような広大な広場になっている状態をテーブルランドと言います。
石灰質は強いアルカリ性を持つので、草木が生えません。雑草の駆除に石灰を撒くくらいです。


カメラを向けるだけで「山」ポーズを披露する愉快な仲間たち。練習したかのようにキマってます。



お虎ケ池。石灰内部が地下水等で溶けて陥没することから形成されるドリーネと言われる地形。御池岳が「御池」と言われるゆえんです。


神社になっているというのに、自撮りをしてしまうN氏とそれに乗せられてポーズをとる私。


8合目を過ぎると残雪の量が増えてきます。元々のヤマレコのルートは辿れませんので迂回します。そうはいうものの、全体が原っぱのようなものなのでルートから外れても、たいていは問題なく歩けます。


こうしてみると石ころが転がっているようですが、広大な石灰のプレートに土とコケが薄く覆われているだけです。


ドリーネの周りに雪が覆っています。間違って落ちたらコワイ。


九合目の周りはかなりな強風でしかも風が雪の上を走ってくるので、ものすごく寒い。


九合目から本当は右上の山頂にいくのが当初予定していたルートですが、道が雪で覆われているので、いったん左上にいってから右上の山頂に行くことにします。


ここが霊仙山の最高点(1098m)。でも山頂ではない。


さあ、ここから山頂へ向けて進みます。


山頂に向かう途中後ろを振り返るの図。後ろの頂上がさきほどの最高点(1098m)です。


山頂の近くは5~10cmほどの積雪ですが、行くしかない。


また、後ろを振り返るの図。毎回ポーズをとってくれる新入部員のYさん。


ついに頂上到着。「霊仙」という名にふさわしそうな一本の棒。1084mなので、最高点より14m低い。


Yさんの自撮りで頂上制覇を祝します。


下山は、時々ショートカットをしながら進みます。
徐々にガスが消えていき、遠くにうっすら(わかるかな?)伊吹山が見えます。


GoogleMapだとこの角度です。ちょうど真下に柏原宿がきます。左半分がはげ山になっていますが、セメント工場に削られたのは上部の一部で、ほとんどは自然の崩落だそうです。


相変わらず風が強く、外では食べられそうにはないので、避難小屋でランチをすることにします。小屋は割りに広く、仮眠室もあり、15人くらい入りそうです。


豚汁で少し体が温まったところで避難小屋を出ます。マイクロパフフーディを被らないと寒い。風を遮るものがなにもないテーブルランドで、風が雪の上を伝って走ってくるからなのでしょう。


孤高の松。土の養分が少ないのが松が育つ条件です。


お虎ケ池の神社に戻ってきました。荒涼寂寞としています。


雪を避けながらショートカットで下っていきます。


八合目から下はもう寒くありません。


西の方角を見ると、登りのときには見えなかった琵琶湖がうっすらと姿を現しました。


お猿ケ岩。おそらくこの岩のことを指しているのでしょうが、どのあたりが猿に見えるのかわかりません。


ちかくのドリーネから聞こえるカエルの声を聞きながら小休止するN氏。背中がいい味を出しています。


写真中央あたりが醒ヶ井宿で、右が米原です。


泥道も通り過ぎました。もうすべる心配もなさそうです。


ちいさくてかわいい花。ヤマシャクヤクかな。




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