今回のコースはちょっと変わったルートです。まずは北大路のバス停から「北1」系統に乗り、源光庵で下ります。3つお寺があり、まず、光悦寺を訪ねます。
光悦寺ですが、このアプローチに惹かれます。車で通るには狭い、人が歩くサイズなのが心地よい温かみを感じます。
この場所は、本阿弥光悦が徳川家康から土地をもらって、工芸家たちをあつめた集落が元になっており、本阿弥光悦の死後に寺になったということです。
前に見えているこんもりした丘陵が鷹ケ峰ですが、この地区一帯を鷹ケ峰と呼んでいたそうです。
本阿弥光悦は書道が一番有名ですが、陶芸や茶の湯まで幅広く芸術を推し進めたマルチアーティストです。
さて、光悦寺のあとは、この付近で一番有名な源光庵を訪ねるつもりが、ちょうど訪ねた時間が拝観不可。
しかたがないので、その次の常照寺を訪ねます。この常照寺は、吉野太夫(よしのたゆう)のお墓があることで有名です。才色兼備にもかかわらず38歳でこの世を去ったと書かれています。若くて綺麗なうちに亡くなるのは可愛そうですが、その時の美しさのスナップショットが永遠に残ります。
吉野太夫は代々伝わる芸名で、有名な吉野太夫は二代目で、京都島原で14歳にして太夫になったといいます。島原は以前のブログで紹介しています。毎年4月に島原から太夫が参拝に来るそうです。
ここも元々は本阿弥光悦の集落の一部であったということですが、すこし下に下りる階段があります。
ところどころに咲いていたフウロソウ(?)
段を降りると白馬池があります。静かな池に白馬に乗った観音様が。
馬も観音様もとてもよくできた像です。
洛北にある常照皇寺は、私の一番好きなお寺ですが、常照皇寺も昔は常照寺と言われていたそうです。
お寺見学を終えていよいよハイキングに出発です。常照寺から尺八池の横を通って、船山を目指します。
屋根と電線の間に送り火の船が見えます。大文字に比べるとかなり小さい。
尺八池です。柵に囲まれていて立ち入り禁止になっています。柵の上から撮影。
奥に秋葉神社がありました。秋葉神社は全国津々浦々にある火除けの社で、大体が小さな祠が多いです。こちらの秋葉神社は薄暗く、鳥居も剥げてしまっており、なにやら明るくない空気がただよいます。
階段を少し上がると祠があり、うしろは石崖になっています。うらぶれてしまっていますが、ちゃんとお花がお供えされています。
ここから登山道に入っていくのですが、木々の間にかろうじて道を認識できる程度で、少し不安になってきます。
どこにいけばわからなくなったところ、ピンクのテープを見つけました。このあたりで倒木に腰かけてカップヌードルで昼食にしたのですが、正直引き返そうか、と思いました。
洞窟のような場所。覗いてみるとちょっと凹んだ空間なだけです。正直こんな道がえんえんと続くんだったらどうしようかと思います。
少し気が滅入りながら上がっていくとすぐにT字路にでます。ちゃんと整備された道がでてきたので、かなりホッとしました。
ふるぼけた看板がありますが、右(東)にいくと船山、左(西)にいくと京見峠です。まずは船山に行ってから、こちらに引き返して、京見峠にいくことにします。
船山は少し傾斜がきつくてすべりそうな場所がありましたが、10~15分ほどで到着。なぜか、「ふとまき」としてのり巻を切ったような断面に絵馬のようにメッセージがかかれてある。
317mの頂上です。
頂上からさらに東へ少し下っていきます。
さきほどまでの木々が密集して暗い世界から突然視界が180度開けます。十字型の火床から見える京都の景色は、いままでいろんな山から見た中でもベストといってもいいかと思います。送り火が京都の多くの場所から見えるということは、こちらからも京都が見渡せるということですね。あたりまえですが。
これはパノラマモードでとりました。この場所は私有地ということで、ここからさきは立ち入り禁止になっています。発見したら警察に通報と看板がありました。警察が山まで追ってくるのかな。
御所と大文字山が見えます。
双ヶ岡から真っ直ぐ奈良の方角です。
こちらは比叡山。手前が宝ヶ池のあたりです。
右のほうを見ると、もうひとつの大文字山が見えます。
景色にみとれてばかりいられないので、船山をあとにして、さきほどのT字路を越えて、京見峠方向に向かいます。
京見峠までの道は非常によく整備されており、心地よいハイキング気分が楽しめます。秋葉神社からの登りとはえらい違い。おそらく送り火の際には、燃料等を車で運ぶために整備されているのでは、と思っています。
京見峠にでると、集落があり舗装された道路になります。
こんな看板が...
氷室神社です。
冬の間ここで作られた氷を夏に御所まで運びました。重いのにはやく運ばないと溶けるので大変ですね。
このような木枠だけになっていますが、もともとこうだったのでしょうか?
湧き水らしきものがありましたが、ポトポトとしか出ておりません。
氷室神社を過ぎて小峠方面に右へ曲がるところにあったお地蔵さん。
コスモスの花ですね。
蝶が舞っていました。コスモスの蜜を吸っています。
稲が実り、刈取りのシーズンです。
さて、舗装された道路から山道にはいります。アルミの柵があり、イノシシ、シカの侵入を防ぐために扉を開けたら閉めてロープで縛ってとめるようにと書いてあります。
かんぬきとか、レバーはありますが、ロープで縛ってとめるとはユニークです。
柵の先はこのような道になります。
そしてこのルートは京都一周トレイルです。だから山道だけれどきちんと整備されていてとても歩きやすいです。小走りに駆け抜けていく人と2,3人すれちがいます。
木の橋がかかっています。こういう場所は橋があるのとないのとでは全然違います。本当に橋ってありがたいです。
案内板がありました。氷室から山幸橋の途中にいます。
開けた場所に出てきました。
山幸橋に到着。
ここは洛北発電所です。1908年(明治41年)に竣工した水力発電です。とても小さいです。発電力は最大450KW。大体1500世帯分です。こないだ登った赤坂山の上を走っていた送電塔に電力を送っている高浜原発は、約85万KWが4基あるので、洛北発電所の7500倍です。高浜原発は京都にも電力を送っているので、この洛北発電所の役割はなんだろうと考えてしまうと同時に、原発に頼らざるを得ない現代についても考えさせられてしまいます。
発電所の横のダムから落ちる滝。
ここまでくればあとはもうすぐと思っていたのですが、向山の標高が426mと以外に高く、この登りがキツかったです。二度ほど休憩して息を整えました。
向山をこえると平坦な道を夜泣き峠まで進みます。
この夜泣き峠は以前、貴船山に登った時に通過しました。
夜泣き峠から約1キロで、二ノ瀬へ出てきました。
叡電の二ノ瀬駅への入口は民家の横にあり、わかりにくいです。
貴船や鞍馬でパフェとか食べてきたようなお嬢様たちの乗った電車がやってきて、汗だくの私はかなり気まずい思いをしました。
今回のルートです。なかなか変化に富んでいて面白かったです。最初は雑木林のようなところで不安にさせ、船山からの眺めに感動し、そのあとは京都トレイルで汗をかくといったところ。
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