12月に入りましたが暖かい週末に福井県敦賀の岩籠山(いわごもりやま)(765m)に登ります。
岩籠山はびわ湖北西から日本海にかけての山塊である野坂山地に属します。さらに野坂岳、西方ヶ岳とならんで敦賀三山の一峰です。
野坂岳は昨年2022年に、西方ヶ岳は今年の6月に登りましたので今回で敦賀三山踏破になります。
興味深いことに地質図を見ると、敦賀三山はすべて花崗岩で出来ています(ピンク色が花崗岩)。花崗岩は硬い一方で表面が少しずつ風化していく性質を持っているので、表面がなめらかな巨石へと変化しやすいのです。
西方ヶ岳にはカモシカ台という巨石がありましたし、野坂岳には行者岩がありました。
(日本シームレス地質図より)
こちらがルートマップです。JR北陸線の新疋田駅の駐車場を起点/終点として、反時計回りに市橋コースから登って、下りは駄口コースを使います。
途中、夕暮山とインディアン平原に立ち寄るルートですが、夕暮山はただの三角点で立ち寄る必要はありませんでした。一方でインディアン平原は西部劇風情が多少味わえるのと敦賀湾の景色が抜群に良かったです。
合計距離13km、累積標高850m、合計時間5時間半でした。ちなみに合計距離のうち約5kmはルート右半分の一般道です。
土曜日の朝9時前にJR北陸本線の新疋田駅に到着しました。無料の駐車場には20台以上のスペースがありますが、8割方埋まっていました。
敦賀のバス停の看板には松本零士のイラストが背景になっています。最初は松本零士が敦賀出身なのかと思いましたが、そうではなくて敦賀駅が鉄道の発展を夢見ているのが銀河鉄道999につながっているだけみたいです。
ここから山側に大岩大権現がある。磐座とも言いますが、巨石信仰の存在を感じます。今日登る山も岩籠山で巨石にあふれた山です。
疋田の集落の中を歩きます。集落にはきれいな水が流れていますが、これは疋田舟川といい、敦賀湾から物資を舟に載せて疋田まで輸送するのに使われたそうです。
といってもこちらの方が標高が高いので、運河に浮かせた舟を人や馬が引っ張ったようです。牛車で運ぶより効率が良かったのでしょう。
疋田まででなく、敦賀からびわ湖まで運河で繋げてしまうという野望は平安時代からあったそうですが、最後まで実現には至りませんでした。
市橋登山口にあった登山道案内。今回は市橋コースを登りに使い、夕暮山に立ち寄ってから岩籠山山頂を踏んで、インディアン平原経由で駄口コースで下山します。
市橋コース、谷コースであることは事前に等高線を見て分かっていましたが、沢を左右にホッピング渡渉しながら登る道でした。筆者は渡渉が嫌いなのです。
滋賀ではまったく雨が降らず、渇水対策本部設置ギリギリまで来ていますが、敦賀では先週まとまった雨が降ったらしい。おかげで勢いよく渓流が走っております。
砂防ダムの端をよじ登ること数回...
最後に沢のツメが崖っぷちなのでツメの脇をよじ登るのですが、これがとんでもない急坂。靴跡に足をかけてなんとか足を運ぶも、後ろ足がすべるほどです。
多分、他にもっとマシなコースがあるんじゃないかなぁ。
夕暮山途中にある疋田反射板。敦賀火力発電所と敦賀変電所の間をマイクロ波で通信するのに使われていると書いてある。インターネット等、通信手段はいくらでもあるのに...と感じますが、災害時の最後の手段といったところでしょうか。
反射板の下は敦賀湾が一望に見渡せて景色良し。風も少ないのでちょっと早いけれどランチにします。ビッグチリトマトヌードルが美味しかったのですが、やはり冬はすぐにお湯が冷めてしまいます。
疋田反射板からさらに先に行ったところにあるのが夕暮山(720m)...なのですが、ただの尾根道の三角点です。景色も何もありません。
夕暮山は西の野坂岳方面の登山口とつながる尾根沿いに位置しますが、今回のように市橋コース、駄口コースで周る場合は立ち寄る意味はないですね。
今回の相棒が足元の夕暮山(720m)の標識を見つけてくれなければ、そのまま尾根を進んでしまうところでした。
新疋田駅から3時間半で岩籠山山頂(765m)に到着。
岩籠山山頂からも敦賀湾が一望できます。敦賀三山の野坂岳、西方ヶ岳からも敦賀湾がよく見えましたが、岩籠山は敦賀市の真南にあるのでここが一番全体を見渡せるように思います。
北東方向を眺めると雪化粧された伊吹山地が見えます。
2ヵ月の10月に登ったばかりだったのでGoogle Mapで岩籠山からの方向で白山を確認してみました。上の写真と照らし合わせると、右の別山、左の御前峰、大汝峰の頂上付近が確認できます。
岩籠山山頂を離れて少し行くと、インディアン平原と名の付いた場所に出ます。Politically Correctな言い方だとネイティブアメリカン平原ですね。
大勢のインディアンが馬を駆って走るほどの平原ではありませんが、開けていてところどころニョキっと突き出した岩石が目立ちます。恐らく岩石のないところも表皮を覆う土のすぐ下が花崗岩になっているので、樹木が根を張れないのではと思います。
岩籠山では江戸時代には鷹狩りようの鷹を育てていたそうなのでこのあたりで鷹狩りの訓練をしていたのでしょうか。
疋田の反射板や岩籠山山頂の景色も良かったですが、インディアン平原からの景色が一番いいんじゃないかと思います。敦賀と敦賀湾を一望に見渡せるここ以上の場所はないんじゃないか。
左の部分をiPhoneの光学3倍ズームで。新設された敦賀駅がわかります。橋脚の上の線路が北陸新幹線で、在来線特急はその下を走ります。
ちょっとカッコつけてみました。
この写真はインディアン平原っぽい。
インディアン平原から急坂を経てブナの群生が美しい尾根を気持ちよく歩きます。
駄口コースで東へ向きを変える箇所は100メートル下って60メートルの急坂を登る。この急坂がキツかった。
あとは普通の登山道です。市橋コースが渡渉の連続で歩きにくいのに比べ、駄口コースの方が断然歩きやすいです。
最後の急坂を下ると、駄口コースの登山口に出てきました。公式の登山口駐車場が使えなくなっていて、閉業している様子のドライブインの敷地に2台車が停めてありましたが、停めていいのかよくわかりません。
駄口コースの登山口から新疋田駅までは161号線沿いを歩いて戻りました。途中、三笠電機の先で右に折れると疋田集落の道があったみたいです。そこを歩けばよかった。
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