京都から別府までは、新幹線で小倉まで行き、そこから特急ソニック号で別府まで。乗換一回、5時間30分ほどで行けてしまいます。車中、ゆっくり新平家物語を読むことができました。
別府に到着したのが夕方5時前。
泊まった宿は、「ホテルさわやか別府の里」というところで、堀田(ほりた)温泉というかなり山側にあり、JR別府駅から公園を通ったり大分自動車道の下をくぐったりで、ついたのが6時頃。
お食事はなかなか良かったです。温泉もさすが別府だけあって、とろみのある気持ちの良いお湯でした。
翌朝、8時ごろ、ホテルの側のバス停から別府ロープウェイの駅までいきます。
ロープウェイは9時が始発です。正月が近いのでもう門松をたてています。
ロープウェイ駅にあった。鶴見岳、由布岳の図。
ロープウェイはなんと100人乗りの大型。今朝は私一人でした。
頂上駅に降り立つと、あいにくガスっていて地上は良く見えません。光っているのは志高湖。
お馴染みの役行者様。
ここから頂上へ向かいますが、高度1300メートルは、地上とは気温が全然違います。
1375mの山頂に立つと、風がそこそこ吹いており、冬山の寒さが身に染みる。寒冷のせいかRX1が電池切れの表示で使えなくなり、iPhone Xで撮影。
霧氷が美しい、と思えるのは後で写真をみてからのことで、氷点下で風が吹く環境では手袋を外した瞬間に手がかじかんでしまう。本当はここから馬の背経由で下山しようかと思っていたのだが、視界が真っ白で、足元も氷ついているようで、冬山未経験者の自分には危険すぎると引き返すことに決意。
地図で言うと、本当は点線のルートで行くつもりが、ロープウェイを引き返し、登山道を通って馬の背の下、西の窪まで行ってから本来の西へのルートへ行くように計画変更。
ただ、このルートには、踊り石を通っていかねばならず、山と高原地図では、点線は「難路」を示す。でもこのルートを行かなければ結局鶴見岳頂上に行かねばならず他に選択肢はない。
立体図でいうとこんな感じ。山裾を左に行って、再度山に登ります。
さてロープウェイを降りて、旗の台から登山道に入ります。頂上と違って人間が暮らせる温度なのがうれしい。
途中にロッジがありました。別荘か、住んでいる様子はないです。
鉄製の手すりがついた階段を上がっていきます。
御岳権現社。
神社から本格的な登山道になるのは定番です。
大量の落ち葉で地面の凸凹がわからないし、滑りやすい。雪よりはずいぶんましですが。
途中で、手ぬぐいをぶら下げたおっちゃんと出会った。鶴見岳頂上から降りて来たが、「氷が溶けていて滑りやすかった」と。
右に行くと鶴見岳。左に行くと南平台。左は「難路」と地図にあったが敢えてこのルートを取る。いままで何度も難路で痛い目に遭って引き返した経験があったが、仕方がない。
どんな難路が待ち構えているのかハラハラしながら進んだが、しっかりテープが付けられているので迷うこともないし、道も危険な感じは全くしません。
巨大な踊り石。何故踊り石という名がついたのだろうか?上部は踊れるような平面ではないし。
裏面にはビバークに適した一人分の洞穴があった。
踊り石を超えて先へ。
全然難路では無かったが心配なルートを抜けてかなり安心。
ここから右(東)へ行くと馬の背を経て鶴見岳の頂上へ。「左は鞍の戸」を消してあるのは地震の影響で閉鎖されている。
頂上からは強い風の音が聞こえてくるし、気温もかなり下がっている。さっきのおっちゃんは何気に降りて来たけど、冬山初心者の自分には、やはり迂回して正解だったと思う。
馬の背側に背を向けて、西の「猪の瀬戸」方面へ向かう。
南平台の北から南西方向へ進みます。日向岳と由布岳の間を抜けて、由布岳の正面登山口まで行き、そこから北西へ上がり、由布院へ向かうルートです。
距離的にはまだまだありますが、一番心配していた箇所は通り抜けたので、後は湯布院の旅館に5時頃にたどり着けるかだけが心配です。
ようやく東登山口にたどり着きます。
ここの車道を南に曲がると、猪の瀬戸湿原ですが、由布院岳方面へ西に向かいます。
このあたりは自然休養林になっています。自然休養林とは、国有林を一般の人でも立ち入れるようにしている場所。なので、いろいろな種類の樹々があり、木の名前がプレートに示されています。
先にあった踊り石も巨岩であったが、このあたりは、同じくらいの巨岩がゴロゴロしているのが特徴です。火山からの噴出物である安山岩が風化したもののようですが、まるで何処からか巨石が運ばれてきたように見えます。古代の人たちはこういうところから神の存在を信じたのでしょうか。
日向岳分岐にきました。北に登れば東峰です。由布岳の頂上は西峰になりますが、ほぼ双子の頂上がある塩梅です。
頂上を見上げれば真っ白。かなり吹雪いているのは間違いありません。
今回、鶴見岳、由布岳の登山ルートを歩いて感じたのは、テープが要所要所に貼ってあるのでロストすることがほぼ全くありませんでした。ここまで貼ってなくても大丈夫というくらいの場所もあります。京都の北山にも見習ってほしいものです。というか、自分が貼る側のボランティアにでもなるべきなのでしょうが。
途中で休憩。気温が低いとさすがになかなかお湯が沸かなかったけれど、熱いココアが美味しい。
苔むした岩石群に木の根が絡みついています。鶴見岳も由布岳も活火山。歩きながら、今、もし噴火したらどうやっても死ぬな、と思う。
南におりて、国道11号とつながる正面登山口に出てきます。ここから北西へ向かい、合野峠を目指します。
歩いていると、ザザっという物音が。一瞬ビクっと驚きましたが、鹿です。
ようやく合野峠に到着。ここから約3km登ると頂上ですが、今回はここから南西の由布院へ向かいます。
長い長い行程でしたが、ついに目的地の湯布院町の名前が見れてうれしい。
ルートは飯盛ケ城と由布岳の間を西へ抜けていくもの。
西の由布院へ向かう分岐に出ました。左の枯れ野は飯盛ノ城という山。
飯盛ノ城へ向かうルートですが、樹々がほとんどない山です。火山性で土が痩せているからなのでしょう。
ついに由布院の町並みが眼下に見渡せました。ここまでくれば...湯けむりに、とろりとした湯はもうすぐぞ。
水場ですが、ここまできて水の補給は必要なし。
鶴見岳と由布岳とは全く違う、枯れ草だけの黒い岩と土。
ここからは湯布院への下り道。
心の中ではもう由布院に着いたつもりになっていましたが、実はまだ高度700m、下り道がなかなか長かったです。
しかし、ついに由布の登山口にでてきました。
近くにあった神社。
登山口からすぐのところに金鱗湖。シャガール美術館の建物がおしゃれです。
よく太った鴨。
宿泊したのは山城という旅館。場所が由布院の南の山沿いにあったので、登山口から歩いて30分以上かかりましたが、長時間のハイキングの後の温泉は格別でした。
料理もとてもおいしい。
翌朝露天風呂に入ると、昨日見えなかった由布岳の頂上がはっきりと見えます。
ちょっとヨーロッパの香りのする山荘風のデザイン。
こうしてみると、東峰も西の頂上もほぼ同じ高さに見えます。
温泉の掘削口で作業をされていました。
温泉の湧出量の日本一が別府で二位が由布院だそうです。1000m以上の活火山が二つあるので、そこに降った雨やら雪解け水は、超巨大な天然の湯沸かし器にかけられるわけですから当然と言えば当然ですね。
ちなみに、自然に湧き出るという条件をつければ草津温泉が全国一位になるそうです。
帰りは湯布院から大分へ特急に乗り、そこからソニック号で小倉、それからのぞみ号です。由布院には男女のカップルが多かったのですが、そのほとんどは中国人か韓国人でした。すこし寂しい。
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