といっても北、中央、南アルプスの山々がどのあたりかさえ、知らなかったのでこの機会にまず調べてみます。すごい適当だとは思いますがこんな感じです。中央アルプスの山々は中山道を歩いた時にいつも見えていたので馴染みが深いです。
今回向かうのは北アルプスの槍ヶ岳の辺りになります。
全体のルートですが、上高地バスターミナルから梓川沿いにゆるやかな登り路のハイキングコースを進み、横尾から登山道に入り、涸沢ヒュッテで一泊して翌日は同じコースで戻るというものです。ですので、北アルプスの尾根までは行きませんが、それでも標準で片道6時間以上のコースなのでそこそこの体力が必要です。
こちらはパンフレットにあったコースのイメージ図です。左下が上高地で、右下に向かって進むと、横尾、そこから斜め左に上がっていくと涸沢ヒュッテ。周りを囲む穂高の山々も描かれています。
8月29日の夜10:45に京都を出発した夜行バス「さわやか信州号」は、翌日5時半に上高地バスターミナルに到着しました。バスは3列シートで快適でしたが、時々揺れるのであまり熟睡はできませんでした。
バスターミナルはまだ薄暗い中、売店がオープンしていて、お昼用のおにぎりを購入。登山装備に着替えていよいよ出発です。
まずは登山計画書を提出します。
広いバスターミナルにはまだまだバスが停められます。9月の紅葉時には一日に普段の一か月分の人達が来るそうです。
まだ眠気覚めやらぬ状態ですが、素晴らしい自然の美しさに感動。
明神分岐。ここまで3キロで約一時間。
ようやく朝らしくなりました。おしるこをいただきました。
徳沢までがさらに一時間。徳沢から東に向かうと蝶ヶ岳に行くことができます。
ロッジというかホテルのような風格。
ウラギクかな?
ところどころで落石注意の看板がありますが、この地域全体が岩場でしかも亀裂の入りやすい岩であることが見て取れます。
このあたりは1万2千年前までは巨大な湖であったのが土砂の堆積で自然に埋め立てられたそうです。
トリカブト。猛毒を持つように全然見えない。
黄苑(キオン)。キク科の花。
いよいよ横尾まで来ました。
ここまではハイキングですが、ここからは登山ルートとなります。
横尾から本谷橋までは横尾谷沿いに進み、ハイキングに毛の生えた程度のコース。
屏風ノ頭といわれる断崖絶壁が見えます。2000メートルくらい。
道はよく整備されています。この階段も歩きやすい。
西側の谷の広がりが見えてきました。
本谷橋に到着。ここから500mほどの本格的な登り道になるので、ちょっと休憩。
河原に降りても橋があるので大丈夫。
嫁がiPhoneで撮影。ラーメン屋の店主のようですが、嫁は「オッス世良さん」と言ってくれています。
さあ、いよいよ本格的な登り。気合を入れてレッツゴー。
このまるい葉っぱはカツラの木かな?いい写真です。
これも黄苑かな。
このあたりから真っ赤な実をつけた木が多くみられます。最初は南天かな?と思いましたが、ナナカマド。ナナカマドの方が南天よりも樹高が大きい。
一度崩落した箇所を石積みで固めた道。それでも崩落の危険があるので、ここで休憩しないようにとの看板がある。
涸沢の谷が見えてきました。
本谷橋から涸沢ヒュッテまでのルートです。それにしてもGoogleMapはすごい。
この谷の部分は、涸沢カールと呼ばれ、カールとは氷河によって削られた谷のことを言います。涸沢は日本最大のカールです。
少し沢から山側に上がった道で、本谷橋と涸沢ヒュッテの真ん中あたりにSガレと呼ばれる場所があります。見ての通りS字型のガレ場です。
谷の下におりてきたら沢沿いを歩きます。
穂高のピークが見えてきました。
ついに涸沢に到着。ここで涸沢小屋か涸沢ヒュッテにいくかで分かれます。涸沢ヒュッテは谷の真ん中にあるので全山が見渡せ、涸沢小屋は北穂高の側面に位置している空中の小屋。ここからヒュッテまでしばらくの登りになります。
涸沢ヒュッテは谷の中でもちょこんと盛り上がった部分に建っています。これをモレーンといい、氷河が削った岩の削りカスの堆積物です。冬はヒュッテごと雪に埋もれてしまいます。
振り返って見るとこれまた良い景色。遠くに見えるのは中山かな?
荷物を下ろす前にまず穂高の山々を眺めます。これは下にあった解説図。
今回の旅行で穂高の山々のピークが見れたのはこの一瞬だけだったんです。本当に写真に撮っておいてよかった。
前穂高と奥穂高、そしてそれを結ぶ吊屋根と呼ばれる尾根。
カメラを右にパンします。
真ん中にえぐれている部分はザイテングラートと呼ばれる登山道で穂高岳山荘に続く道です。登山事故が時々あるみたいです。右に尖っているのが涸沢槍。
さらにもう一回、カメラを右にパンします。
左にさっきの涸沢槍。そこから中央から右にかけてせりあがっているところが北穂高岳です。見えませんが北穂高岳の後ろを尾根沿いに大キレットという難所をずうっと進むと有名な槍ヶ岳です。ピークとピークの間の窪んだ場所をコルと呼びますが、キレットとはそのコルのなかでもキツイものを言うようです。景色はいいのでしょうが、槍ヶ岳はさすがに命が惜しい気がします。
北穂高岳の下の建物が涸沢小屋です。
穂高の山々を地図にマッピングしてみました。我ながら、なかなかわかりやすい。
ヒュッテの上は広いデッキのようになっています。まずは来た道を振り返り、ほっとした気分に。
こんな美味しそうなおでんが食べられるのです。生ビールも飲めます。一杯800円もしますが。これらは全てヘリコプターで運ばれてきます。
涸沢ヒュッテは屋内の部屋もありますが、今回はテント泊を選びました。テント泊は、もちろん持参もできますが、今回は貸しテントです。
テント場所はガレ場になります。板を500円で貸してもらえるので、板を平らなガレ場の上に敷いてからテントを設営することになります。ロープは重そうな石に括り付けます。
ピーク時には一千を超えるテントが張られるそうです。さすがにそれはちょっとね...
貸しテントは比較的ヒュッテに近い場所にすでに張られています。板も敷いてあります。というか板がないと絶対寝れませんよ(笑)
貸しテントは15時からしか受け付けしてもらえないので、1時間半ほど待たなければなりません。はやく装備をほどいてゆっくりしたかった。ま、こういう環境で贅沢言ってはいけませんが。
この日の夜は雨が降り出し、風も結構強くテントは大きくしなるし、雷も何度も落ちてガレ場に地響きが走って寝苦しかったです。
朝は5:30から朝食なのでテントから出てくると、小雨が降ったりやんだりのお天気です。
デッキも濡れていて座れません。
朝食はこんな感じ。
昨日の穂高の山々は霧に隠れて全く見えません。
8時すぎまでヒュッテに居ましたがすこし雨が収まったようなので戻りルートにはいります。雨なので、ここからしばらくの写真は、iPhone Xの出番になります。
ちょっと平坦なイメージですが、ホント、スマホカメラのクオリティはすごいものがあります。
ナナカマド。
横尾に到着。やはり何も見えないのは悲しい...
シラネセンキュウ。セリの一種だそうです。
キツリフネ。垂れ下がった花弁が特徴的です。
徳沢に到着。ここでお昼ご飯を食べます。みちくさカフェという食堂ですが、とてもオシャレな感じです。オリジナルグッズや、コロナビールが置いてあったりします。氷壁の宿という名前で宿泊施設もありますし、テント場もあります。
月見うどんを食べて満足そうなオレを嫁さんが撮影。
徳沢を後にして上高地方面へ歩き出します。
iPhone Xのポートレートモードで撮影。なかなか雰囲気があります。
行きにおしるこを食べた明神館から、帰りは北のルートを取ることにします。ちょっと遠回りになりますが穂高神社も見てみたいので。
かなり立派なつり橋を渡ります。
山のひだやという山荘があります。食堂は、カフェ・ド・コイショというダジャレのような名前で面白い。
穂高神社です。明神池がすぐ裏にありますが有料なのでやめておきます。
ここからのルートが手つかずの自然の中をウッドデッキが渡してある路で、本当に素晴らしい。京都から上高地に来て、このルートだけ歩いても値打ちがあるといっても過言ではありません。
梓川沿いを縫うようにウッドデッキが走ります。
孤高のサル。特に人を恐れる風もない。
自然の美しさにしばらく見とれてしまいます。
岳沢の分岐点。ここを岳沢方面に北に進むと前穂高岳の登山ルートになります。
本日の宿である小梨平に到着しました。
ケビンを予約しているので、すぐに入って荷物をほどきます。中の写真を撮るのを忘れましたが、清潔な水洗トイレ付で、キッチンや冷蔵庫、調理器具もそろっていて、一週間くらい過ごしたくなります。
しかも小梨平は銭湯があります。別料金ですが、勿論利用させていただきました。疲れがお湯の中に溶けていくようです。
夜ごはんは奥さんがBBQを予約してくれていました。事前に17時からと言っておいたら、それまでに炭の準備もされていて、食材もすべてテーブルに置かれていました。枝豆までついていてサービスの良さに感動。8卓くらいの広さに屋根付きで、雨が入らないようにスノコがかかっているので快適。雨のせいか他に誰もお客さんがいないので貸し切り状態でした。
ワインはここの売店で買った地ワインですが、甘めで味はまだまだ、といったところ。でもワインがあると楽しさと美味しさが倍増します。
締めは焼きおにぎり。これがまた美味しい。カリカリになるまでじっくりと焼き上げます。
さて、三日目です。バスが出るのに合わせてバスターミナルに向かいます。
新島々から松本駅までローカル列車で30分。なぎさちゃんのイラストがかわいい。
このあと、特急しなの号で名古屋まで行って、新幹線で京都まで帰りました。